ホームインスペクションは中古住宅に必要?理由と費用相場も解説!

中古住宅を購入する場合、トラブルを避けるためにもホームインスペクションは非常に重要な手続きです。専門のインスペクターによる客観的な診断によって住宅の状況を明確にすることで、将来起こりうるリスクや費用を最小限に抑えることができます。

この記事では、

・中古住宅購入の際にホームインスペクションが必要な理由

・中古住宅の際のホームインスペクションのメリットとデメリット

・ホームインスペクションの費用相場やタイミング

について分かりやすく解説します。

この記事を読んで、ホームインスペクションの理解を深め、ストレスなく住宅を購入できるよう参考にしてください。

ホームインスペクションは中古住宅購入の際に重要

中古住宅を購入する際に、ホームインスペクションを受けるかどうかで悩んでいる人は多いと思います。中古住宅を購入する際、ホームインスペクションは必須といってもいいくらいに重要なものです。

なぜならば、もともと中古住宅は経年劣化などの理由で不具合が少なくないうえに、購入後に大きな欠陥が見つかる可能性もあるからです。ホームインスペクションを行うことによって、いろいろな不具合や修繕の必要性を認識でき、後々に起こるリスクを軽減できます。

ホームインスペクションは、人にたとえれば健康診断のようなものです。一見、具合が悪いところがなくても、専門のお医者さんが診断することで異常が見つかることもあります。早期に発見できていれば最小限の治療で済んだ場合でも、放置していたことで取り返しがつかない事態に陥る可能性があるでしょう。

ホームインスペクションを行うことは、住宅購入後の快適な生活を安心して過ごすために必要不可欠なのです。

内閣府認証NPO法人日本ホームインスペクション協会が、中古住宅購入者100人に対して行ったアンケート調査によると「もう1度中古住宅を購入するとしたらホームインスペクションを利用したいですか?」という質問に対し、95%の人が「利用したい」と答えています。

出典:内閣府認証NPO法人日本ホームインスペクターズ協会「利用者100人のホンネアンケート」

中古住宅売買の際にホームインスペクションの説明が義務化

2018年4月の宅地建物取引業改正により、既存住宅(中古住宅)売買の際に、仲介業者は購入者に対してホームインスペクションの説明が義務づけられました。

良質な中古住宅流通の促進と、買主が安心して中古住宅を購入できるよう消費者保護の徹底を図ることが目的です。

参照:国土交通省「改正宅地建物取引業法の施行について」

それまでは、ホームインスペクション自体をよく理解していなかった人も多かったのですが、この改正を機にホームインスペクションの認知度が高まりました。この改正自体はホームインスペクションの実施自体を義務づけるものではありません。説明することや1年以内に行っていた場合の報告などを義務づけるものですが、それまでホームインスペクションに積極的でなかった不動産仲介業者や売主側の認識が変わってきたことも事実です。

中古住宅にホームインスペクションが必要な理由

中古住宅のホームインスペクションは、購入予定の住宅のコンディションを把握し、安心して契約を結ぶために必要不可欠です。

ここでは、具体的にホームインスペクションが必要な理由を解説します。

・住宅の状態確認と安全性の確保が必要なため

・修繕費の見積もりに必要なため

・価格や条件の交渉材料として必要なため

それぞれ順に説明します。

住宅の状態確認と安全性の確保が必要なため

中古住宅にホームインスペクションが必要な理由の1点目は、住宅の状態確認と安全性の確保が必要なためです。

中古住宅は、どうしても経年劣化による不具合や潜在的な問題が存在する可能性が高いです。

ホームインスペクションによって、現在の不具合の状況や構造的な問題を確認し、修繕が必要な個所を特定できます。

また、劣化した設備や老朽化した配管、耐震に関する構造的な部分などの安全性に関するリスクを確認し、必要な改修や改善策の提案を受けられます。

修繕費の見積もりに必要なため

中古住宅にホームインスペクションが必要な理由の2番目は、修繕費の見積もりに必要なためです。

中古住宅を購入する際には、その状態に応じて将来的に修繕費やリフォーム代が必要になる場合があります。

ホームインスペクションで、修繕や改善が必要な箇所や設備などを確認することにより、修繕にかかる費用の見積もりが可能です。

価格や条件の交渉材料として必要なため

中古住宅にホームインスペクションが必要な理由の3番目は、価格や条件の交渉に必要だからです。

ホームインスペクションを行った結果の報告書により、買主側だけでなく、仲介業者や売主側も住宅の専門的なコンディションが具体的に確認できます。

また、住宅の状態や必要な修繕の状態に基づいて、価格交渉や契約条件の変更を行うことも可能です。

安心感に加えて、購入に関して後々後悔するリスクが少なくなるという意味でも、中古住宅にホームインスペクションを行うことは大切です。

中古住宅でホームインスペクションを行う3つのメリット

中古住宅でホームインスペクションを行うことによる、具体的な3つのメリットを紹介します。

・安心と納得が得られる

・未然に欠陥住宅購入を防げる

・売買後のトラブルが減る

順番に説明します。

安心と納得が得られる

1点目のメリットは、安心と納得が得られることです。

建築士をはじめとする専門の住宅診断士が、客観的な立場でホームインスペクションを行うことによって、購入予定の住宅の状態を正確に確認できます。

いい面だけでなく、住宅の劣化状態や欠陥の有無、改修すべき箇所や時期、費用などさまざまなアドバイスを専門家から受けることによって安心感だけでなく納得感も得られるでしょう。

また、劣化状況も含めた住宅のコンディションが分かることで、購入後に必要なリフォームの予算や将来のメンテナンスの計画も立てやすくなり、安心材料が増えることにもつながります。

未然に欠陥住宅購入を防げる

2点目のメリットは、大きな欠陥があった場合に、未然に欠陥住宅の購入を防げることです。

ホームインスペクションでは、壁を壊して壁の中を見ることはできません。それでも、サーモグラフィや超音波などを使って住宅の検査をすることによって、実際に今ある欠陥や、将来不具合になるであろう箇所が分かります。

もし大きな欠陥があった場合、ホームインスペクションを行わなければその重大な欠陥を知ることなく購入し、取り返しのつかない後悔をすることになるのです。

ホームインスペクションを行うことにより、こういったリスクを未然に防ぐことができます。

売買後のトラブルが減る

メリットの3点目は、売買後のトラブルが減ることです。

ホームインスペクションを行う場合の中古住宅の売買の流れは次の通りです。

  1. ホームインスペクションによって経年劣化している箇所や不具合がある部分を洗い出す
  2. 契約書や重要事項説明書で売主と買主がインスペクションの結果を確認し承認しあう
  3. 承認した内容を織り込んだ価格で売買が成立する

ホームインスペクションの手順を踏まずに住宅購入をし、引き渡し後に思わぬ瑕疵が見つかった場合、買主が後悔してしまうのです。

なお、2020年4月施行された民法改正により従来の「瑕疵担保責任」から変わった「契約不適合責任」によって、売主側の責任範囲が広がりました。

従来は、買主が契約時点で気づかなかった瑕疵だけが売買後に売主側が負う責任であったものが、契約書や重要事項説明書に明示されていない瑕疵に対しても原則責任を負わなければならなくなりました。

結果、ホームインスペクションの有無にかかわらず、瑕疵が発生した場合には売主が瑕疵に対する責任を負わねばならないため、契約前にホームインスペクションで瑕疵が見つかることは必ずしも売主にとってデメリットではありません。

契約内容と売買価格に折り込むことによって、後々のトラブルを回避できるからです。

※売主が責任を負わねばならない期間は、契約書であらかじめ決めている契約不適合責任の期間内、売却後2年以内となっていれば2年間です。

中古住宅でホームインスペクションを行う3つのデメリット

次に、中古住宅でホームインスペクションを行う場合のデメリットを紹介します。

・他の人が先に購入してしまう可能性がある。

・ホームインスペクションの費用がかかる

・すべての欠陥や不具合を発見できるわけではない

順番に説明します。

他の人が先に購入してしまう可能性がある

デメリットの1点目は、ホームインスペクションをしている間に他の人が購入してしまう可能性があるという点です。

特に、人気物件の場合には、同時期に複数の人が購入を検討する場合があります。ホームインスペクションは、長い場合には1週間以上かかってしまうケースもあるため、実施中に他の人が購入を決めてしまう可能性もあります。仮に、契約前の買付申込書を交わしていたとしても他の人が契約したいと申し出た場合には、契約書が優先になってしまうため注意しましょう。

インスペクションの費用がかかる

デメリットの2点目は、ホームインスペクションには費用がかかるということです。

詳しくは後述しますが、おおよそ40,000~120,000円くらいの費用がかかります。

ホームインスペクションの費用を売主側が払うか、買主側が払うかは状況によって変わってきますが、一般的に中古住宅の場合、買主が希望して行った場合は買主が費用を支払います。

ホームインスペクション後に問題なく売買が成立すれば、購入のための経費と考えられるからいいのですが、もし欠陥が見つかり購入を見送るとなった場合に、その費用が無駄になると考える人もいるでしょう。

すべての欠陥や不具合を発見できるわけではない

デメリットの3点目は、すべての欠陥や不具合を完璧に発見できるわけではないという点です。

中古住宅の際に行われるホームインスペクションは、基本的には目視による非破壊検査です。そのため、住宅の隅々までを完璧に調査するわけではありません。

目視できない設備などは、依頼者の意向がない限り検査しない業者もいるので、すべての瑕疵が発見できるとは限らないことを知っておきましょう。

ホームインスペクションの費用相場

ここでは、中古住宅のホームインスペクションの費用相場を紹介します。実際には建物の大きさやホームインスペクション業者によって変わってきますので、あくまでも目安として参考にしてください。

また、中古住宅のホームインスペクションの目的は、老朽化による劣化の状況や不具合な個所を調べ、修繕やリフォームが必要な場所を見つけることです。もし修繕が必要な個所が見つかった場合は、修繕してから売買するのか、修繕せずにその分を値下げして契約するのかを売主側と買主側が協議して決める流れになるでしょう。

・中古住宅一戸建ての場合

・中古マンションの場合

順に説明します。

中古住宅一戸建ての場合

木造一戸建て(30坪程度)の場合の調査項目や目安の料金をまとめました。

調査項目目安の料金
基本調査(目視による非破壊検査、床下や屋根裏は点検口から除く程度)50,000~70,000円
オプション調査(床下や屋根裏の侵入調査)20,000~30,000円
サーモグラフィカメラでの断熱材調査15,000円程度
ファイバースコープカメラでの壁内調査40,000円程度
耐震診断および耐震基準適合証明書発行30,000円程度

また、ホームインスペクション業者によっては、床下や屋根裏の侵入調査を基本調査費用に含んだ料金設定にしているところもあります。

中古マンションの場合

マンション(70平米前後)の場合の調査項目や目安の料金をまとめました。

調査項目目安の料金
基本調査40,000~60,000円
オプション調査1(コンクリート圧縮強度の調査)10,000~20,000円
オプション調査2(設備・給排水管調査)5,000~10,000円

分譲マンションは、専用部分のホームインスペクションしかできません。共有部分や専有部分の調査の必要性も低く、床面積も100平米未満が主流であるため、一戸建てに比べ料金はやや低めです。

中古住宅のホームインスペクション費用に補助金が出るケース

自治体によっては、ホームインスペクションにかかる費用に対して補助金が出るケースがあります。

兵庫県は、「ひょうごインスペクション実施支援事業」として、売買予定の一戸建ての既存住宅(中古住宅)に対して、ホームインスペクションにかかる費用の経費または25,000円のどちらか低い額を補助金として支援しています。既存住宅の安全・安心な流通と、売買時に売主・買主が抱える既存住宅の不安を払拭することを目的とした補助金制度です。

他にも、ホームインスペクションに関する補助金が活用できる自治体があります。詳しくは、お住まいの自治体のホームページを確認しましょう。

参照:兵庫県「既存住宅の流通促進(ひょうごインスペクション実施支援事業・ひょうごあんしん既存住宅表示制度)

中古住宅の場合のホームインスペクションのタイミング

中古住宅のホームインスペクションのタイミングは、契約前がベストです。契約前であればホームインスペクションの結果を基に、購入自体を見直すことも含めて契約の内容を慎重に再検討できます。

ただ、前述したように契約前だと、ホームインスペクション中に他の購入希望者が契約を申し出た場合、そちらが優先されてしまうため注意が必要です。

いずれにしても、最初に物件を見学して気に入った場合、契約の前に交わす買付申込書の段階で、インスペクションの希望を伝えておきましょう。

どうしても契約前にホームインスペクションができない場合には、契約後引き渡し前までに行いましょう。これにより、修繕や改修が完了し、引き渡し時に問題がないことを確認できます。

この時点では、実際に契約の解除は難しいですが、売主との最終的な調整や修正を行うことが可能です。

中古住宅のホームインスペクションのタイミングは、買主と売主の合意のもとで調整されます。依頼するホームインスペクション会社にも早めに相談し、状況に応じて最適なタイミングで行うことが大切です。

ホームインスペクションの重要性を認識して悔いのない新生活を始めよう!

欧米では、住宅購入の際にホームインスペクションを行うことは常識となっています。日本も欧米ほどではなくとも、2018年に宅建業法の改正によりホームインスペクションの説明が義務化されてから、その必要性が認識されつつあります。

反面、利害に反するからなのか、認識の低さからなのか、まだまだホームインスペクションに対して消極的な仲介業者が多いのが現状です。

「ホームインスペクションは無駄ですよ」「ホームインスペクションは必要ないですよ」といった声に従ってホームインスペクションをしなかったために、後々大きな後悔をする可能性があります。

ホームインスペクションの正しい理解と重要性を今一度認識して、安心・安全で悔いのない新生活を始めましょう。

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