消防設備点検の頻度は年何回?対象となる建物や消防署への届出について解説!

消防設備点検は、火災から人命や建物の安全を守るために必要不可欠な作業です。この記事では、消防設備の点検や報告の頻度、対象となる建物や消防署への届出について解説します。点検を依頼する業者を選ぶ際のポイントもあわせて紹介するので、安心・安全な施設運営に関する情報を得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。

消防設備は、火災時に人命や財産を守り、被害を最小限に抑えるために、重要な役割を果たします。

いざというときに、適切な働きができるよう日頃から消防設備の点検が必要です。

しかしながら、具体的にどれくらいの頻度で点検や報告をおこなえばいいのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、下記の内容について詳しく解説します。

・消防設備点検や報告の頻度

・有資格者による点検が必要な建物

・点検の依頼から、消防署への届出までの流れ

点検を依頼する業者を選ぶ際のポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

消防設備点検の頻度は1年に2回!

消防設備点検の頻度は、消防法で定められており1年に2回必要です。

具体的には、消防設備の点検には2種類あり、点検の種類によって頻度が異なります。

・機器点検:6カ月に1回の頻度

・総合点検:1年に1回の頻度

つまり、機器点検が年に2回必要で、そのうちの1回は機器点検と総合点検を兼ねておこなうということです。

それぞれ順にみていきましょう。

機器点検は6カ月に1回の頻度

機器点検は、6カ月に1回の頻度で点検が必要です。

機器点検では、消防設備の機器が適正に設置されているか損傷や劣化がないかなどを、外観からまたは触手などによる簡易的な操作によって、基準に従い確認します。

※消防設備:消防法で規定されている消火設備、警報設備、避難設備、消火活動上必要な施設の総称です。

主な消防設備としては以下のようなものがあります。

・消火設備:消火器、スプリンクラー、屋内消火栓設備など

・警報設備:自動火災報知器、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器など

・避難設備:避難はしご、救助袋、暖降機、誘導灯、誘導標識など

・消防用水:防火水槽、貯水池など

総合点検は1年に1回の頻度

総合点検は、1年に1回の頻度で点検が必要です。

総合点検では、消防設備等の全部もしくは一部を作動、または実際に消防設備を使用することにより、総合的な機能を、消防設備の種類などに応じて基準に従い確認します。

機器点検と総合点検の具体的な違いは、下表のとおりです。

対象設備機器点検総合点検
消火栓ホース外観によるチェック(ただし、製造年から10年を経過したものは耐圧性能を確認)耐圧性能等を確認(実際に水を放水)
避難器具避難はしごなどの避難器具は外観点検避難はしごなどの避難器具は実際に降下試験を実施
火災報知器など火災報知器は1台1台音を鳴らして点検火災報知機や誘導灯の配線の点検を実施
放送設備実際にサイレンを鳴らす機器点検の内容に加え、スピーカーの音圧確認を実施

このほか総合点検では、機器点検と同じ内容の点検を実施します。

消防設備点検の報告頻度|1年に1回もしくは3年に1回

消防設備点検の実施後には、点検結果報告書を作成し、建物の所在地を管轄する消防署に提出しなければなりません。

ただし、点検と報告の頻度は異なるため、消防設備点検をおこなうたびに報告する必要はありません。

また、報告の頻度も建物の種類によって変わります。

具体的には、下記のとおりです。

・特定防火対象物は1年に1回の報告が必要

・非特定防火対象物は3年に1回の報告が必要

順に説明します。

特定防火対象物は1年に1回の頻度で報告が必要

特定防火対象物は、1年に1回の報告が義務づけられています。

特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする建物で、災害時などに避難が困難と予想される施設のことです。

具体的には、映画館やナイトクラブ、飲食店、旅館、ホテルや百貨店、地下街、病院、老人ホームなどが含まれます。

非特定防火対象物は3年に1回の頻度で報告が必要

非特定防火対象物は、3年に1回の報告が義務づけられています。

非特定防火対象物とは、特定防火対象物以外の防火対象物のことです。

収容人数は多くても出入りする人が限られており、火災が発生した場合に、避難が特定防火対象物に比べ比較的容易な施設のことを指します。

具体的には、小学校、中学校、高等学校、図書館、博物館、美術館、神社、寺院、教会、共同住宅、集会場、事務所、工場、倉庫などがあげられます。

消防設備点検の対象となる建物

消防設備点検の対象となる建物は、一戸建ての個人住宅を除く、ほぼすべての建物が当てはまる防火対象物(消防法で定められた建築物、山林、船、車両などの総称)です。

また、消防設備点検の対象となる建物のうち、下記の条件に該当する防火対象物に関しては、消防設備士または消防設備点検資格者による消防設備点検が義務づけられています。

・延べ床面積1,000平米以上の特定防火対象物

・延べ床面積1,000平米以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定するもの

・特定一階段等防火対象物

それぞれ詳しく解説します。

延べ床面積1,000平米以上の特定防火対象物

不特定多数の人が出入りする特定防火対象物で、延べ面積が1,000平米以上の建物は、有資格者による消防設備点検の対象です。

火災が起こった際のリスクが高いため、消防設備士や消防設備点検資格者の有資格者が、火災報知機やスプリンクラーなどが正しく機能するかチェックをおこなわなければなりません。

延べ床面積1,000平米以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定するもの

特定防火対象物に指定されていない建築物であっても、延べ面積が1,000平米以上で、消防長または消防署長が指定するものは、消防設備点検の対象になります。

これらは、用途や構造が一般的な建物と異なる場合が多いため、「特別に注意が必要」と消防長や消防署長が判断した場合に点検の義務が発生します。

特定一階段等防火対象物

特定一階段等防火対象物とは、地下または3階以上の階に特定用途部分があり、避難のために使用する屋内の階段が1つしかない防火対象物のことです。

通称「特一(とくいち)」とも呼ばれています。

火災が起こった際の危険性が高いと考えられるため、同様に有資格者による点検が義務づけられています。

「特定用途」とは、主に不特定多数の人が利用する用途や、災害時に援護を要すると考えられる人が利用する用途のことで、興行場・百貨店・集会場・遊技場・店舗・学校・図書館などの施設が対象です。

なお、上記以外の対象物に関しては、無資格者でも点検できますが、専門的な知識が必要とされます。

そのため、消防設備士や消防設備点検資格者などの有資格者による点検がおすすめです。

消防設備点検の依頼から消防署へ届出するまでの流れ

ここでは、具体的に消防設備点検を依頼し報告するまでの流れをみていきます。

それぞれの流れを把握し、早めに点検の準備をしましょう。

1.消防設備点検業者に点検を依頼する

点検の時期が近づいてきたら、消防設備点検をおこなう業者から見積りを取り、点検を依頼しましょう。

業者を決める際は、実績と経験が豊富で安心できる業者を選ぶことがポイントです。

2.有資格者による消防設備点検を実施する

点検を依頼する業者が決まったら、業者と打合せ後、日時を決めて実際に点検を依頼します。

当日は、常時点検に立ち会う必要はありませんが、質問などがある場合に連絡が取れるように待機しておきましょう。

3.点検担当者が作成した点検結果報告書を消防署または消防出張所へ提出する

特定防火対象物は年に1度、非特定防火対象物は3年に1度の頻度で、管轄の消防署または消防出張所に、点検結果報告書を提出しなければなりません。

報告することはもちろんですが、報告と同時に、防火対象物の維持台帳にも点検結果を忘れずに記録しておきましょう。

4.不備などの指摘を受けた場合には速やかに対応する

消防設備は、いつ必要になるか分かりません。

設備に不備があると指摘を受けた場合には、速やかに必要な改修や設備の入替えなどをおこないましょう。

消防設備点検や報告を怠った場合の罰則

ここでは点検や報告を怠った場合の罰則について解説します。

まずは、罰則の対象となりやすい3つのケースを紹介します。

・定められた期間に点検をしない

・虚偽の報告をする

・設置命令違反

1年に2回以上の機器点検、1年に1回以上の総合点検をおこなわなければ罰則の対象となります。

「部分的に点検したが全階でおこなわなかった」「消防設備の一部の設備しかおこなわなかった」場合も同様です。

たとえば、非特定防火対象物の場合、報告の頻度は3年に1度ですが、3年に1度しか点検をしなかったにもかかわらず、その他の期間は結果が問題なしと虚偽の報告をした場合も罰せられます。

消防署から、規定されている消火器の本数を満たしていない、使用期限が過ぎているのに放置しているなどの指摘を受けて放置した場合も設置命令違反です。

次に、具体的な罰則の内容についてみていきます。

違反名違反内容罰則対象となる消防法
点検報告義務違反点検結果の報告をしなかった、または虚偽の報告をした場合
・点検そのものをしなかった・周期を守っていない・虚偽の報告書を提出したなど
30万円以下の罰金または拘留消防法「消防法第8条2の2の1
維持管理義務違反消防設備の適正な維持のために必要な措置をしなかった場合
・使用期限を過ぎている消火器を放置・誘導灯の電池切れ・電気故障などがある自動火災報知設備を修理しないケース
30万円以下の罰金または拘留消防法「消防法第17条の4の1および2
設置命令違反消防設備の設置命令に対して設置しなかった場合
・消火器など決められた設備を設置しない・火災予防や消防活動の妨げになるものを放置した場合など
1年位以下の懲役または100万円以下の罰金消防法「第5条の3

また、2001年9月に発生した新宿歌舞伎町ビルの火災により、2002年消防法の改正がおこなわれ、違反に対する罰則が強化され、罰金の上限が1億円になりました。

このように、火災から人命や財産を守り、被害を最小限に抑えるために、消防設備点検は重要視されています。

消防設備点検の業者を選ぶ4つのポイント

消防設備は、火災から建物の入居者や利用者を守ります。

万が一のときに設備が動かない、使えないでは取り返しがつきません。

そうならないように、消防法に則った定期的な点検をおこなうことはもちろんですが、その点検を依頼する業者の選び方も大切です。

適切な業者を選ぶ際のポイントは、以下の4点です。

・経験と実績が豊富である

・緊急時に対応してくれる

・常に最新情報を把握している

・問い合わせした電話口の丁寧さやメール返信の速さ

順にみていきましょう。

経験と実績が豊富である

人命にかかわる設備点検のため、経験と実績が豊富な業者を選ぶことは重要なポイントです。

業者のWebサイトなどで、これまでの点検実績の件数や営業年数をチェックしましょう。

年間300件以上の実績と営業年数10年以上が1つの目安です。

建設業の許可は「許可を受けたい建設業について経営業務に準ずる地位にある人で、7年以上経営者を補佐した経験がある人」という要件があります。

よって、許可を取って3年以上営業している場合には10年以上の経験があると判断できます。

緊急時に対応してくれる

消防設備は、火災が起こらなければ使うことはないものの、何らかのトラブルが発生する可能性は常にあります。

たとえば、警報機が誤作動することもあれば、何らかの原因でスプリンクラーが作動し、水浸しになってしまうこともあります。

連結送水管から水漏れする可能性も否定できません。

このような緊急時に、迅速な対応をしてくれるかどうかを必ず事前に確認しておきましょう。

常に最新情報を把握している

常に最新情報を把握している業者を選ぶことも重要なポイントです。

消防設備点検は、常に消防法に則って実施されます。

消防法は大きな災害が起こると、その都度改正されます。

そのため、常に正しい点検を実施する必要があり、依頼する業者が業界全体の法令に関する最新情報をインプットしている必要があるのです。

ただでさえ、点検の頻度や報告の周期など分かりにくいことも多いため、さまざまな質問や疑問に対する的確なアドバイスが得られる、信頼できる業者を選ぶことが不可欠です。

問い合わせした電話口の丁寧さやメール返信の速さ

問い合わせした電話口の丁寧さやメール返信の速さも業者を選ぶ際に外せないポイントです。

「ファーストインプレッション」という言葉がありますが、ビジネスにおいても問い合わせに対する電話やメールに関する対応で、その業者の日頃の体質を判断できます。

電話口での丁寧さやメールの返信の速さなど、常に顧客ファーストで取り組んでいる業者ならではの体質は、点検を依頼する際に大切な判断要素です。

消防設備点検に関するご相談はテックビルケアへ

前述したように、消防設備点検の頻度は点検の種類によって異なり、報告の頻度も建物の種類により変わります。

したがって、正確なルールを把握して建物管理をおこなうことは、容易ではありません。

テックビルケアは、創業40年で官公庁をはじめ、小規模建築物から大規模建築物まで、6,000件以上の消防設備点検実績があります。

老人福祉施設、病院、旅館・ホテル、店舗、共同住宅、雑居ビルまで、どんなタイプの建物でも対応させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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テックビルケアにご興味をお持ちいただきありがとうございます。

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