住宅の購入を検討する際に、ホームインスペクションを依頼するかどうかで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ホームインスペクションを利用して後悔したケース、利用しなかったために後悔したケースをそれぞれの事例を交えて紹介します。
この記事では、実際にホームインスペクションをおこなうときに後悔しないためのポイント、依頼する会社の選び方を解説します。
ホームインスペクションに関する認識を深め、スムーズな住宅選びができるように役立ててください。
ホームインスペクションの具体的な5つの目的

「ホームインスペクションって本当に必要なのだろうか?」
住宅を購入する際に、こうした疑問を抱く方はまだまだ多くいらっしゃいます。
あらためてここで、ホームインスペクションをおこなう本来の目的を紹介します。
・住宅購入時の判断材料になるため
・購入した住宅の施工状態を確認するため
・潜在的な問題が発見できる可能性があるため
・将来的なリスク回避のため
・安心と信頼を確認するため
それぞれ具体的にみていきましょう。
住宅購入時の判断材料になる
目的の1つ目は、住宅を購入する際の判断材料になることです。
ホームインスペクションをおこなうことで、物件の価値を正しく判断できるようになり、価格交渉や修繕の要求をする際の材料とすることができます。
購入した住宅の施工状態を確認するため
目的の2つ目は、購入した住宅の施行状態を確認することがあげられます。
新築・中古にかかわらず、購入した住宅の状態に問題がないかを確認することは大切です。
もしも、不具合が見つかった場合でも、保証期間内であれば売主側に修繕費用を請求できる場合もあり、特に大きな欠陥がなかった場合でも安心感が得られます。
長く住み続ける自宅の状態を確認しないままでいることは、不安とリスクを抱えながら生活することにつながります。
潜在的な問題が発見できる可能性があるため
目的の3つ目は、潜在的な欠陥などを発見できる可能性があるという点です。
新築住宅・中古住宅にかかわらず、専門家でなければ分からない構造上の問題や不具合などを見つけられる場合があります。
素人の目では分からない欠陥などを是正することで、住みはじめてからの予期せぬトラブルに発展するリスクを避けることが可能です。
将来的なリスク回避のため
目的の4つ目は、将来的なリスクを回避するためです。
ホームインスペクションの結果、欠陥や不備が見つかった場合には、売主に修繕を求めたり、購入自体を取りやめたりすることが可能です。そのため、将来的に起こりうるトラブルを軽減することができます。
安心と信頼を確認するため
目的の5つ目は、購入した住宅に対する安心や売主への信頼を確認するためです。
ホームインスペクションをおこなうことにより、物件自体にどのような問題があるのかが明確になるため、買主は安心感が得られ売主は買主からの信頼が得られます。
ホームインスペクションを依頼して後悔した事例

ホームインスペクションを利用した、あるいは利用しなかった、それぞれの場合に後悔したケースを把握しておくことは重要です。
まずは、実際にホームインスペクションを利用して後悔した事例を紹介します。
・格安業者を依頼した結果調査報告が大雑把すぎて理解できなかった
・費用を惜しんで床下や屋根裏の調査をしなかった
・不動産会社に紹介されたインスペクション業者で調査結果に疑問が生じた
・不動産会社や売主側との関係が気まずくなった
・契約前に依頼するべきだった
格安業者を依頼した結果調査報告が大雑把すぎて理解できなかった
費用を抑えるために格安料金の業者に依頼したら、完了後に簡単なレポートが送られてきたが、詳しいホームインスペクションの報告内容が記載されておらず、ほとんど理解できなかったというケースがありました。
質問をメールで送っても返事が遅く、回答の内容も非常に分かりづらく、結果的に失敗したという事例です。
価格が安い業者がすべて悪いとは限りませんが、費用を安く抑えるつもりがかえって費用を無駄にしてしまうこともあるので注意しましょう。
費用を惜しんで床下や屋根裏の調査をしなかった
業者によっては、床下や屋根裏にインスペクターが入っておこなう調査をオプション扱いとしているところも多く、「オプションなら床下や屋根裏はいいや」と調査をしない選択をする方もいます。
しかし、引き渡し後に床下や屋根裏に不具合が発覚し、費用を惜しまず依頼しておけばよかったと悔やむ方が少なくありません。
不動産会社に紹介されたインスペクション業者で調査結果に疑問が生じた
住宅購入時に、不動産会社からインスペクション業者を紹介・あっせんされるケースがあります。
紹介すること自体は問題がないのですが、不動産会社とインスペクション業者は、利害関係が絡むこともあり、調査結果の公平性が問題視される場合があります。
不動産会社から紹介してもらっているインスペクション業者の立場から考えると、不具合を調査報告として出すことによって、購入や売却の契約がしづらくなるのではという利害関係から「第三者性」が損なわれる可能性があるのです。
実際に不動産会社から紹介された業者に依頼し問題ないということで購入したものの、入居後に小さな不具合が見つかり、本当に報告に足らぬと判断されたものか、忖度のために報告されなかったのか疑問や不信感を抱いたというケースがあります。
不動産会社や売主側との関係が気まずくなった
不動産会社や売主のなかには、調査自体を嫌がる・拒否するなど、ホームインスペクションに肯定的でない人もいます。
実際に調査をおこない多くの指摘事項が報告され、不動産会社や売主側との関係が悪くなったというケースもあります。
しかし、大きな買い物であることや長い間使っていくことを考えると、自分の住む住宅の診断をするのは当たり前のことなので、関係が気まずくなったことを悔やむよりも、実施してよかったとポジティブに考えていいでしょう。
契約前に依頼するべきだった
ホームインスペクションは、基本的には購入契約前におこなうことをおすすめします。
契約前までホームインスペクションのことを知らなかった、契約前は不動産会社が首を縦に振らなかったため遠慮したなど、理由はさまざま想定できますが、やむを得ない事情がある場合を除けばやはり契約前におこなう方がベストです。
大きな欠陥や不備などが見つかったなどで、契約する前に実施すべきだったと後悔するケースも多いです。
気に入った物件の購入を断念した
気に入った物件で最終確認のつもりで検査したが、悪しき点が多数見つかったため結果的に購入を断念してしまったというケースもあります。
しかし、これも欠陥が多い物件を買わなくて正解だったと思う方もいるため、必ずしもすべての人が後悔することには当てはまりません。
ホームインスペクションを利用せず後悔したケース

次に、ホームインスペクションを利用せずに後悔した事例を紹介します。
・住みはじめてから大きな不具合が発覚した(入居後に不具合や欠陥が発覚)
・リフォーム・補修費用が想定以上にかかった
・売主の契約不適合責任が免責だった
・売主や不動産会社のホームインスペクションを信用して自らはおこなわなかった
それぞれ詳しくみていきましょう。
住みはじめてから大きな不具合が発覚した(入居後に不具合や欠陥が発覚)
売主を信用してホームインスペクションをせず、入居後に後悔している方も少なくありません。
住みはじめた後に不具合が見つかり、対応を求めたけれども急に対応が悪くなったり、遅くなったりすることは決して珍しくなく、やっておけばよかったと後悔することになるのです。
リフォーム・補修費用が想定以上にかかった
中古住宅を購入後にリフォームする方もいますが、見積りを依頼したところ、想定していなかった箇所の補修工事を提案されて見積り額が跳ね上がったというケースはよくあります。
補修のために予算を使ってしまい、希望するリフォームがほとんどできなかったという事例もあり、引渡し前にホームインスペクションをおこなっていれば、「必要な個所の補修後に購入できたのに」と後悔してしまうケースです。
売主の契約不適合責任が免責だった
契約不適合契約(瑕疵担保責任)が免責だったことを契約前に確認しなかったため、購入後に不具合や欠陥が見つかったものの、売主側に修繕などの交渉ができなかったケースです。
事前にホームインスペクションをおこなっていれば、購入前に売主側に補修費の負担を交渉する、または購入自体を見送るなど色々な選択肢があっただけに悔やまれる事例です。
特に契約不適合責任がない物件を購入する際には、ホームインスペクションは必ず実施した方がいいでしょう。
売主や不動産会社のホームインスペクションを信用して自らはおこなわなかった
売主側でホームインスペクションを実施済みの物件が販売されていることもあります。
調査費用もかからず、結果も事前に提示されるというメリットがあるものの、売主が実施したケースは最低限の調査であることが多く、十分な情報が得られるかというと疑問符がつきます。
「ホームインスペクションを実施済みなのだからいいだろう」と購入したものの、入居後に不具合が発覚し、調査した業者に確認したところ、(もちろん違法ではないが)限定的な調査項目であったことが分かり、費用がかかっても自分で依頼すべきだったと反省した、という事例です。
ホームインスペクションで後悔しないための6つのポイント
実際に、住宅を購入する際などに、ホームインスペクションで後悔しないためのポイントを6つ紹介します。
1.ホームインスペクションは可能な限り契約前におこなう
2.新築住宅の場合は建築中のインスペクションがおすすめ
3.ホームインスペクション会社は自分でさがす
4.床下と屋根裏はできればオプションでも依頼する
5.事前に調査報告書のサンプルに目をとおす
6.ホームインスペクションは売主の許可を取ってからおこなう
それぞれ具体的に説明します。
1.ホームインスペクションは可能な限り契約前におこなう
ホームインスペクションは可能な限り契約前におこないましょう。
契約前であれば、不具合や欠陥が見つかっても、売主側と交渉することもできれば、購入自体を見合わせることも可能だからです。
新築住宅でも中古物件でも同じで、契約前の実施がベストです。
2.新築住宅の場合は建築中のインスペクションがおすすめ
新築の建売住宅や注文住宅の場合は、建築途中にホームインスペクションをおこなうことをおすすめします。
なぜなら、基礎の内部や建物の躯体部分・壁内の防水や断熱などは、完成してからでは確認できないからです。
建築の途中で調査することで、施工を手がける側も不具合がないようより注意深く取り組む場合も多いです。
3.ホームインスペクション会社は自分でさがす
不動産会社や建築主側が紹介する業者では、どうしても利害関係がある場合があり、公平性に疑問を持ってしまうケースが少なくありません。
第三者性が重要であるため、できれば調査を依頼する会社は自分で選びましょう。
4.床下と屋根裏はできればオプションでも依頼する
床下や屋根裏は住んでいる人から見えないため、重要性が分かりにくい側面があります。
しかし、建物の構造材や構造金物などの大切な部位を確認でき、指摘が多い断熱や配管もチェックできる重要なスペースです。
オプションとされていることが多いですが、費用がある程度かかっても調査することをおすすめします。
5.事前に調査報告書のサンプルに目をとおす
調査前に、調査報告書のサンプルに目を通しておくことも大事なポイントです。
調査結果は住宅購入の判断材料にするだけでなく、修繕やメンテナンス・リフォームに活用できる可能性があります。
業者によっては簡単なレポートしか作成しないこともあるため、適切な調査報告書がどういった内容のものか事前に把握しておくことが必要です。
ホームページなどに公開されていない場合には、事前にサンプルの提示を依頼しましょう。
6.ホームインスペクションは売主の許可を取ってからおこなう
ホームインスペクションは売主への許可が必要になるため、勝手に調査を依頼すると信頼関係にひびが入る場合があります。
売主側に購入を検討しはじめた段階で、ホームインスペクションの希望を伝えておきましょう。
また、調査を実施するまでの間は、できれば他の購入希望者との契約を待ってもらえないか交渉してみることもおすすめです。
後悔しないためのホームインスペクション会社の選び方

ここでは、ホームインスペクションを依頼する会社の選び方を解説します。
・実績に問題はないか?
・コミュニケーション力に問題はないか ?
・説明は分かりやすいか?
・価格は適正か?
順に詳しく説明します。
実績に問題はないか?
実績や経験は極めて重要です。新築住宅・中古住宅にかかわらず、建物の構造や状態はさまざまです。
保有している専門資格ももちろん大切ですが、実際にどのような建物をどれくらいの件数対応してきたか、聞ける範囲で尋ねてみましょう。
コミュニケーション力に問題はないか?
依頼した買主だけでなく、調査時や終わったあとは不動産会社や売主と保証やアフターサービスなどで接する機会が多くあります。
こういった取引上の関係者と良好なコミュニケーションを図り、誠実な信頼関係を保っていけるかどうかも依頼する際の重要なポイントです。
説明は分かりやすいか?
そもそも、住宅の構造や造りについては、一般の方には理解しにくい点が多くあります。特に、調査後の報告書には専門用語が含まれることが多いため、内容を把握しづらい場合も少なくありません。
たとえば、不具合が発見された場合には、今後のアドバイスを含め、専門用語を使わず丁寧に説明してもらえるよう事前に要望しておくことも重要です。
価格は適正か?
依頼する会社によって価格や条件はもちろん違います。しかし、あまりにも安すぎる、逆に相場よりも高すぎる会社には注意が必要です。
料金表を掲載している業者も多いので、ある程度費用の相場観を把握しておくことも大切です。
また、床下や屋根上の調査がオプションかどうかも確認しておきましょう。
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後悔しないホームインスペクションはテックビルケアへおまかせください
ホームインスペクションを「依頼して後悔したケース」「依頼せずに後悔したケース」それぞれについて紹介してきました。
住宅購入を検討される場合、実際の後悔事例を理解したうえで調査を検討することは非常に重要です。
「住まい」というかけがえのないものを安心して手に入れるために、欠かすことのできないホームインスペクションは、ぜひテックビルケアへお任せください。