赤外線外壁調査とは?費用・メリット・依頼方法まで徹底解説

従来の足場を使った打診調査は高額で時間もかかるため、多くの建物オーナーが頭を悩ませています。そこで注目されているのが、コスト削減と高精度を両立する赤外線外壁調査です。
本記事では、赤外線外壁調査の仕組みから費用相場、信頼できる業者選びのポイントまで、建物のオーナーや管理者に必要な情報を解説します。

目次

赤外線外壁調査とは

従来の外壁調査との違い

赤外線外壁調査は2種類

地上赤外線調査

ドローン赤外線調査

地上×ドローンを組み合わせることで調査精度が上がる

赤外線外壁調査でわかること

外壁の浮きや剥離

断熱材の劣化

ひび割れ

経年劣化の進行具合

赤外線外壁調査のメリット

広い範囲を短時間で調査可能

高精度なデータが収集できる

外壁に触れずに調査できる

高所でも安全に調査が可能

調査時に住民に迷惑をかけにくい

コストを下げた調査ができる

赤外線外壁調査のデメリット

気温や天候による影響を受けることがある

専門的な知識と技術が必要となる

建物の構造によっては調査ができない場合がある

赤外線外壁調査の仕組み

赤外線外壁調査の費用相場

赤外線外壁調査の頻度

赤外線外壁調査の所要時間

赤外線外壁調査の流れ

地上赤外線調査の場合

ドローン赤外線外壁の場合

赤外線外壁調査業者を選ぶ際のポイント

過去の調査実績や施工事例を確認する

建築物検査関連の資格保有者が在籍しているかで選ぶ

使用する機器は高性能なものを使用しているか

アフターサポート体制の有無を確認する

注意するべき赤外線外壁調査業者の特長

費用が相場に比べて極端に安い

調査を外部業者に委託している

赤外線外壁調査に関するよくある質問

雨漏りの箇所を特定することはできる?

赤外線調査は義務ですか?

まとめ

赤外線外壁調査とは

赤外線外壁調査は、赤外線カメラを使用して建物外壁の温度分布を測定し、内部の異常や劣化を検出する非破壊検査手法です。外壁材の浮きや剥離、雨水の浸入、断熱材の劣化などが発生すると、熱の伝導率に変化が生じ、表面温度にムラが現れます。
この微細な温度差を赤外線カメラで可視化し、専門技術者が画像解析を行って異常箇所を特定します。建物を傷つけることなく内部の状態を把握できるため、予防保全や計画的な修繕に活用されています。近年、マンションやオフィスビル、工場などの大型建築物で導入が進んでいる先進的な調査方法です。

従来の外壁調査との違い

従来の外壁調査は、主に目視確認と打診棒による打診調査が中心でした。調査員が足場を組んで外壁に接近し、ハンマーで壁面を叩いて音の違いから浮きや剥離を判断します。しかし、この方法では足場設置に時間とコストがかかり、高所作業による安全リスクも伴います。
また、調査員の経験や技術に依存する部分が大きく、見落としや判断ミスが発生する可能性もあります。一方、赤外線外壁調査は非接触で外壁の内部状態を可視化できるため、足場設置が不要なケースが多く、短期間で広範囲の調査が可能です。温度分布データとして客観的な記録が残るため、調査結果の信頼性も高まります。
さらに、居住者への騒音や振動による迷惑も最小限に抑えられ、建物の美観を損なう心配もありません。

赤外線外壁調査は2種類

赤外線外壁調査には「地上赤外線調査」と「ドローン赤外線調査」の2つの主要な方法があります。

地上赤外線調査

地上赤外線調査は、調査員が地上から高性能な赤外線カメラを使用して外壁を撮影する手法です。最新の高解像度赤外線カメラを用いることで、外壁の微細な温度変化や異常を詳細に捉えることができます。
建物に比較的近い距離から撮影するため、細部まで鮮明な熱画像を取得でき、小さな劣化や初期段階の異常も見逃しません。特に低層から中層建物において効果的で、足場設置が不要なケースが多いため、コスト削減にもつながります。
調査精度が高く、信頼性の高いデータを収集できる点が大きな特徴です。

ドローン赤外線調査

ドローン赤外線調査は、無人航空機(ドローン)に赤外線カメラを搭載し、空中から外壁を撮影する革新的な手法です。人が接近困難な場所や高所でも、安全かつ効率的に調査を実施できます。
広範囲を短時間でカバーできるため、大規模な建物や高層マンション、複雑な形状の建築物に特に適しています。足場や高所作業車が不要で、調査期間の大幅な短縮とコスト削減を実現できます。
また、さまざまな角度から撮影できるため、地上からでは確認困難な部位も詳細に調査可能です。

地上×ドローンを組み合わせることで調査精度が上がる

地上赤外線調査とドローン赤外線調査は、それぞれ異なる特徴と利点を持っています。地上調査は細部の詳細確認に優れ、ドローン調査は広範囲や高所の効率的な撮影に強みがあります。
両手法を組み合わせることで、お互いの弱点を補完し、調査精度を大幅に向上させることが可能です。たとえば、ドローンで全体の概要を把握した後、地上調査で気になる箇所を詳細に確認するといった使い分けが効果的です。

赤外線外壁調査でわかること

赤外線外壁調査では、外壁の内部に潜む様々な異常や劣化状況を正確に把握できます。目視や従来の打診調査では発見困難な初期段階の問題も、温度分布の変化から明確に検出が可能です。

外壁の浮きや剥離

外壁材が下地から浮いていたり剥離したりしている箇所では、空気層の形成により熱の伝導率が変化し、周囲と異なる温度パターンを示します。赤外線カメラで撮影すると、これらの異常部分は明確な温度差として可視化されます。
タイルの浮きやモルタルの剥離、サイディングボードの変形なども早期に発見できるため、外壁材の落下事故や大規模な修繕工事を未然に防ぐことが可能です。

雨漏りの兆候

雨漏りが発生している箇所では、外壁内部に浸入した水分により熱容量が変化し、周囲と異なる温度分布を示します。赤外線カメラはこの微細な温度変化を捉えることができるため、目視では確認できない初期段階の雨漏りも検出可能です。
水分の浸入経路や蓄積箇所も特定できるため、効果的な修繕計画の立案に役立ちます。雨漏りは建物の構造体に深刻な損傷を与える可能性があるため、早期発見による予防保全が極めて重要です。赤外線調査により、被害が拡大する前に適切な対策を講じられます。

断熱材の劣化

断熱材が劣化したり欠損したりしている箇所では、熱の伝導率が変化し、外壁表面の温度分布にムラが生じます。赤外線カメラで撮影することで、断熱性能の低下や断熱材の沈下、圧縮による性能劣化を可視化できます。
そのため、室内の快適性低下や冷暖房効率の悪化を引き起こす箇所を特定し、適切な断熱改修の計画立案が可能です。省エネルギー性能の維持や光熱費削減の観点からも、断熱材の状態把握は重要な要素です。赤外線調査により、建物全体の断熱性能を客観的に評価できます。

ひび割れ

外壁のひび割れは、構造体の応力集中や材料の収縮により発生し、内部の温度変化として現れる場合があります。赤外線カメラで温度分布を確認することで、表面上は見えない微細なひび割れや、将来的にひび割れが発生する可能性の高い箇所も検出できます。
特に構造的に重要な部位のひび割れは、建物の安全性に直結するため、早期発見が極めて重要です。赤外線調査をもとにした予防的な補修により、大規模な修繕工事を回避できる可能性が高まります。

経年劣化の進行具合

建物の経年劣化は、材料の物性変化により熱の伝導率や蓄熱性に影響を与えます。赤外線外壁調査では、これらの変化を温度分布の異常やムラとして捉えることが可能です。
劣化の範囲や深刻度を定量的に分析し、建物全体の劣化状況を客観的に評価できます。そのため、適切な修繕計画の立案や予防保全スケジュールの策定が可能となります。

赤外線外壁調査のメリット

赤外線外壁調査は、従来の調査方法と比較して多くの優位性を持つ先進的な技術です。効率性、安全性、経済性、精度の全ての面で優れた特徴を有しており、建物の維持管理に革新をもたらしています。

広い範囲を短時間で調査可能

赤外線外壁調査の大きなメリットは、広範囲を短時間で調査できることです。従来の打診調査では、足場設置や高所作業に多大な時間を要し、大規模建物では数週間から数か月の調査期間が必要でした。
しかし、赤外線カメラやドローンを活用することで、同じ範囲を数日から1週間程度で調査完了できます。特に大規模マンションや商業施設、工場などでは、調査期間の短縮により業務への影響を最小限に抑えられます。また、調査効率の向上により、より頻繁な定期調査の実施も可能になり、予防保全の効果を高められるでしょう。時間短縮は直接的なコスト削減にもつながり、建物所有者にとって大きなメリットとなります。

高精度なデータが収集できる

最新の赤外線カメラ技術により、極めて高精度なデータ収集が可能になっています。地上型の高性能カメラは、建物に近い距離から撮影することで、0.1℃以下の微細な温度差の検出も可能です。
高解像度の熱画像により、物理的な損傷や劣化を非常に詳細に可視化し、従来の目視調査では見逃されがちな初期段階の異常も確実に発見できます。また、デジタルデータとして記録されるため、過去の調査結果との比較分析も容易で、劣化の進行状況を定量的に把握できます。
客観的で再現性の高いデータにより、調査結果の信頼性が大幅に向上し、適切な維持管理計画の策定に貢献します。専門技術者による画像解析により、温度分布パターンから異常の種類や深刻度まで詳細に診断できる点も大きな特徴です。

外壁に触れずに調査できる

赤外線外壁調査は完全な非接触調査であり、外壁に直接触れることなく内部状態を把握できます。この特徴により、調査による建物への影響を完全に排除できます。従来の打診調査では、調査器具による外壁の損傷や汚れ、振動による内部への影響が懸念されましたが、赤外線調査ではそのような心配は一切ありません。
また、居住者や利用者への騒音や振動による迷惑も発生しないため、営業中の商業施設や居住中のマンションでも問題なく調査できます。建物の品質と価値を保持しながら、必要な調査を実施できる理想的な手法といえます。

高所でも安全に調査が可能

赤外線外壁調査は、高所作業に伴う安全リスクを大幅に軽減できます。ドローンや望遠レンズ付き赤外線カメラを使用することで、作業員が高所に上がることなく詳細な調査が可能です。
従来の足場設置や高所作業車を使用した調査では、転落事故や機械トラブルなどの危険性が常に存在しましたが、赤外線調査ではこれらのリスクを根本的に排除できます。
労働安全衛生法の観点からも、作業員の安全確保は最優先事項であり、赤外線調査の導入により安全性が飛躍的に向上します。また、悪天候時の作業中止による工期遅延のリスクも軽減され、計画的な調査実施が可能になります。安全性の向上は、調査コストの削減にもつながる重要な要素です。

調査時に住民に迷惑をかけにくい

赤外線外壁調査は、居住者や建物利用者への影響を最小限に抑えられます。足場設置による通行の妨げや、打診調査による騒音・振動が発生しないため、日常生活や業務への支障がほとんどありません。特にマンションや商業施設では、居住者や顧客への配慮が重要な要素となりますが、赤外線調査なら静かで迅速な調査が可能です。
調査期間も短縮されるため、長期間にわたる不便さを強いることもありません。また、プライバシーへの配慮も重要で、赤外線カメラは温度分布のみを記録するため、室内の様子が映ることもありません。そのため住民満足度の維持と調査の両立を実現できる優れた手法といえるでしょう。クレームや苦情の発生リスクも大幅に軽減され、円滑な調査実施が可能です。

コストを下げた調査ができる

赤外線外壁調査は、総合的な調査コストの削減に大きく貢献します。足場設置費用の削減がもっとも大きな要因で、大規模建物では数百万円の費用削減効果があります。また、調査期間の短縮により人件費も大幅に削減でき、機械設備のレンタル費用も最小限に抑えられます。
さらに、高精度な調査により必要な修繕箇所を正確に特定できるため、無駄な修繕工事を避けることができ、長期的な維持管理コストの最適化が実現します。初期投資は従来法と同程度でも、総合的な経済効果は大きく、費用対効果の高い調査手法といえます。

赤外線外壁調査のデメリット

赤外線外壁調査はいくつかの制約や注意点もあります。調査を依頼する際は、これらのデメリットも十分に理解し、適切な対策を講じることがポイントです。

気温や天候による影響を受けることがある

赤外線外壁調査は、外気温や天候条件に大きく左右される特徴があります。調査の精度を確保するためには、外壁と周囲環境の間に十分な温度差が必要です。外気温が低すぎたり高すぎたりすると、温度差が小さくなり、異常の検出が困難になります。
理想的な調査条件は、晴天で外壁が太陽光により適度に温められた状態です。雨天や曇天では外壁の温度上昇が不十分で、調査精度が大幅に低下します。また、強風時は外壁表面の温度が不安定になり、正確な測定が困難です。
季節による制約もあり、冬季は日照時間が短く、調査可能な時間帯が限定されます。これらの制約により、調査スケジュールの調整が必要になる場合があり、緊急時の即座な調査実施が困難な場合もあります。

専門的な知識と技術が必要となる

赤外線外壁調査の実施と結果の解析には、高度な専門知識と豊富な経験が不可欠です。赤外線画像の読み取りは、単純な温度分布の確認ではなく、建築構造、材料特性、劣化メカニズムなどの幅広い知識を総合した専門的な判断が必要です。
温度分布パターンから異常の種類や深刻度を正確に診断するには、長年の経験と継続的な技術研鑽が求められます。
また、調査機器の操作や設定にも専門技術が必要で、適切な条件設定ができないと正確なデータが取得できません。このため、信頼できる専門業者の選定が極めて重要になります。調査結果の品質は、実施者の技術レベルに大きく依存するという特徴があります。

建物の構造によっては調査ができない場合がある

建物の構造や外壁材の種類によっては、赤外線外壁調査の適用が困難な場合があります。金属パネルや高反射材料を使用した外壁では、赤外線の反射により正確な温度測定ができない場合があります。
また、二重構造や複層構造の外壁では、内部の異常が表面温度に現れにくく、検出精度が低下するケースも考えられます。断熱性能が極めて高い建物では、内外の温度差が小さく、異常の検出が困難になる場合もあります。
建物の形状が複雑で、影になる部分が多い場合は、均一な調査が困難です。さらに、周辺環境の影響も考慮する必要があり、隣接建物からの反射熱や風の影響により、正確な測定が阻害される場合があります。これらの制約により、事前の建物調査と適用可否の判断が重要です。場合によっては、他の調査方法との併用や代替手法の検討が必要になることもあります。

赤外線外壁調査の仕組み

赤外線外壁調査は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出し、温度分布として可視化する技術です。すべての物体は絶対零度以上の温度を持つ限り、その温度に応じた赤外線を放射しています。
赤外線カメラは、この目に見えない赤外線を検出し、温度に対応した色彩やグレースケールの画像として表示します。外壁に異常が発生すると、熱の伝導率や蓄熱性に変化が生じ、表面温度に微細な差異が現れます。
たとえば、外壁材の浮きや剥離があると、空気層の形成により断熱効果が生じ、周囲より高温または低温になります。雨水の浸入箇所では、水分の蒸発潜熱により周囲より低温になる傾向です。
断熱材の劣化や欠損部分では、熱の伝導率が変化し、温度ムラとして現れます。専門技術者は、これらの温度分布パターンを解析し、建築物の構造や材料特性、環境条件を考慮して異常の種類と程度を診断する流れです。調査結果は、温度分布画像と解析レポートとして提供され、修繕計画の策定に活用されます。

赤外線外壁調査の費用相場

赤外線外壁調査の費用は、建物の規模、構造、調査範囲、使用する機器、調査方法などにより大きく変動します。一般的な相場として、調査面積1平方メートルあたり150円から500円程度が目安です。
地上からの調査のみの場合は比較的安価で、1平方メートルあたり150円から300円程度です。ドローンを併用する場合は、機器費用や操縦技術者の人件費が加算され、1平方メートルあたり300円から600円程度になります。
高性能カメラや特殊な解析技術を要する場合は、さらに費用が上昇することもあります。建物全体の調査費用は、中規模マンション(延床面積3,000平方メートル程度)で100万円から150万円、大規模ビル(延床面積10,000平方メートル程度)で300万円から1,000万円程度が一般的です。
調査報告書の詳細度や、3Dマッピング、長期保証などの付加サービスにより費用は変動します。

また、調査面積が大きいほど1平方メートルあたりの単価が下がる可能性が高く、広い面積の場合は割安となる傾向があります。

赤外線外壁調査の頻度

赤外線外壁調査の実施頻度は、建物の種類、築年数、使用状況、周辺環境などにより決定されます。一般的な推奨頻度は、新築から10年以内の建物では10年に1回程度の定期調査が適切です。
築10年を超えた建物では、劣化の進行が加速するため、5年から7年に1回の調査が推奨されます。築20年以上の建物や、過去に大きな異常が発見された建物では、3年から5年に1回の頻繁な調査が必要になる場合があります。
海岸部や工業地帯など、厳しい環境条件下にある建物では、通常より短い間隔での調査実施が望ましいです。
また、大規模修繕工事の前後には、工事の必要性確認と効果検証のための調査実施が重要です。定期的な調査により、劣化の進行状況を継続的に監視し、適切なタイミングでの予防保全を実現できます。

赤外線外壁調査の所要時間

赤外線外壁調査の所要時間は、建物の規模、構造の複雑さ、調査方法、天候条件などにより変動します。一般的な中規模マンション(50戸程度)の場合、地上調査のみであれば1日から2日程度で現地調査が完了します。
ドローンを併用する場合は、飛行準備や安全確認に時間を要するため、2日から3日程度の期間が必要です。大規模ビルや複雑な形状の建物では、1週間程度の調査期間を要する場合もあります。
調査後の画像解析と報告書作成には、調査規模に応じて3日から2週間程度の時間が必要です。天候条件により調査が延期される場合もあるため、ゆとりのあるスケジュール設定が重要です。緊急調査の場合は、条件が整えば即日から数日以内での実施も可能ですが、詳細な解析には一定の時間が必要になります。

赤外線外壁調査の流れ

赤外線外壁調査は、事前準備から報告書提出まで体系的な手順で実施されます。調査方法により具体的な手順は異なりますが、基本的な流れは共通しています。ここでは、赤外線外壁調査の流れを紹介します。調査の依頼前に確認しておきましょう。

地上赤外線調査の場合

地上赤外線調査では、まず建物周囲の安全確認と調査範囲の詳細な設定を行います。次に最適な撮影条件を確保するため、天候や時間帯を考慮して調査を開始します。調査員が地上から高性能赤外線カメラを使用し、建物の各面を系統的に撮影します。
必要に応じて複数の角度や距離から撮影し、詳細なデータを収集します。撮影完了後、取得した画像データを専門ソフトウェアで解析し、温度分布の異常を特定する流れです。最終的に、調査結果を詳細な報告書にまとめて提出します。

ドローン赤外線外壁の場合

ドローン赤外線調査では、事前に詳細な飛行計画を策定し、安全対策を徹底します。飛行許可の取得や近隣への事前通知も重要な準備作業です。調査当日は、気象条件を確認してドローンに赤外線カメラを搭載し、計画に従って上空から外壁全体を撮影します。
高所や複雑な形状部分も効率的にカバーし、地上からでは困難な角度からの撮影も実施します。取得した大量の画像データを高度な解析技術で処理し、異常箇所を特定します。調査結果は3Dマッピングなどの先進技術も活用して、わかりやすい報告書として提供されます。

赤外線外壁調査業者を選ぶ際のポイント

信頼できる赤外線外壁調査業者の選定は、調査の成功を左右する重要な要素です。技術力、実績、サポート体制など、多角的な視点から業者を評価することが必要です。

過去の調査実績や施工事例を確認する

業者選定において、過去の調査実績と具体的な施工事例の確認はもっとも重要な判断材料です。自分の建物と同じ規模、構造、用途の建物での調査経験があるかを詳細に確認しましょう。
実績豊富な業者は、さまざまな建物タイプや異常パターンに対する知識と経験を蓄積しており、予期せぬ状況にも適切に対応できます。また、過去の調査で発見した異常事例や、その後の修繕効果についても確認することで、業者の技術レベルと信頼性を判断できます。
可能であれば、実際の調査報告書のサンプルを確認し、解析の詳細度や報告書の品質も評価しましょう。

建築物検査関連の資格保有者が在籍しているかで選ぶ

調査を担当するスタッフが適切な資格を保有しているかの確認は、調査品質の保証に直結します。建築物検査員、赤外線建物診断技能師、建築士などの資格保有者が在籍している業者を選びましょう。これらの資格は、建築構造や材料特性、劣化メカニズムに関する専門知識を証明するものです。
また、赤外線カメラの操作技術や画像解析技術に関する認定資格も重要な判断材料です。資格保有者が直接調査を担当するか、監督するかも確認し、経験豊富な専門家による高品質な調査を受けられる業者を選定しましょう。

使用する機器は高性能なものを使用しているか

使用する赤外線カメラやドローンの性能は、調査精度に直接影響します。最新の高解像度・高感度カメラを使用している業者を選びましょう。温度分解能0.1℃以下、空間分解能の高いカメラであれば、微細な異常も確実に検出できます。
また、ドローン調査を行う場合は、安定した飛行性能と高品質な撮影機能を持つ機体を使用しているかも重要です。機器のメンテナンス状況や校正の実施状況も確認し、常に最適な状態で調査を実施できる体制が整っている業者を選定しましょう。最新技術への投資を継続している業者は、技術力向上への意識も高いといえます。

アフターサポート体制の有無を確認する

調査後のアフターサポート体制の充実度も重要な選定基準です。調査報告書の詳細な説明、追加質問への対応、修繕業者の紹介、定期的なフォローアップなど、包括的なサポートを提供する業者を選びましょう。
また、調査結果に基づく修繕計画の策定支援や、修繕工事後の効果検証調査なども重要なサービスです。万一、調査に不備があった場合の対応方針や保証内容も事前に確認しておくと安心です。長期的なパートナーシップを築ける業者を選ぶことで、建物の継続的な維持管理を効果的に進められます。

注意するべき赤外線外壁調査業者の特長

業者選定では、避けるべき業者の特徴も把握しておくことが重要です。不適切な業者を選ぶと、調査品質の低下や追加費用の発生リスクがあります。

費用が相場に比べて極端に安い

相場を大幅に下回る極端に安い費用を提示する業者には注意が必要です。適正な調査を実施するには、高性能な機器、熟練した技術者、十分な調査時間が必要で、これらにはそれなりのコストがかかります。
極端に安い場合は、調査の手抜きや安全管理の不備、報告書の簡素化などにより品質を犠牲にしている可能性があります。また、契約後に追加費用を請求される場合もあります。適正な価格とサービス内容のバランスを重視し、安さだけで業者を選ぶことは避けましょう。

調査を外部業者に委託している

調査業務を外部業者に丸投げしている場合、品質管理や責任の所在が不明確になるリスクがあります。委託先の技術レベルや調査品質にばらつきが生じる可能性もあります。自社で一貫して調査・解析・報告を行う業者のほうが、責任感と品質への意識が高く、問題発生時の対応も迅速です。
業者選定時は、実際に調査を担当するスタッフの所属や経歴も確認し、直接雇用の専門技術者による調査を受けられる業者を選びましょう。

赤外線外壁調査に関するよくある質問

赤外線外壁調査について、よくある質問を厳選して取り上げます。調査を検討する際の参考にしてください。

雨漏りの箇所を特定することはできる?

赤外線外壁調査では、雨漏りの発生箇所や浸入経路を高い精度で特定できます。外壁内部に浸入した水分は、周囲と異なる温度分布を示すため、赤外線カメラで明確に可視化されます。特に、雨漏りの初期段階や、目視では確認できない微細な浸水も検出可能です。
ただし、雨漏りの原因が複数ある場合や、複雑な浸水経路の場合は、詳細な解析と追加調査が必要になることもあります。

赤外線調査は義務ですか?

赤外線外壁調査自体は法律で義務付けられていません。しかし、外壁調査自体は義務付けられています。建築基準法第12条により、不特定多数の人が利用する建物、高齢者などが利用する施設で一定規模を超える場合は、定期的な外壁調査の実施が義務となっています。
赤外線調査は、この法定調査の有効な手段の一つとして位置づけられています。従来の打診調査と比較して、効率性や安全性に優れているため、多くの建物で採用が進んでいます。
法的義務の詳細については、建物の用途や規模により異なるため、専門家に相談することをおすすめします。

参考:e-GOV法令検索(建築基準法 第十二条)

参考:国土交通省

まとめ

赤外線外壁調査は、建物の外壁に潜むさまざまな異常を効率的かつ高精度で発見できる非破壊検査技術です。従来の調査方法と比較して、安全性、効率性、経済性、精度のすべての面で優れた特徴を持っています。
外壁の浮きや剥離、雨漏りの兆候、断熱材の劣化など、目視では確認困難な問題も早期に発見でき、適切な予防保全を実現できます。
ただし、天候条件や建物構造による制約もあるため、専門知識を持つ信頼できる業者の選定が重要です。定期的な赤外線外壁調査の実施により、建物の安全性確保と資産価値の維持、長期的な維持管理コストの最適化を図れます。
建物所有者にとって、赤外線外壁調査は建物の健全性を守る有効な手段といえるでしょう。

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