防火対象物点検とは?消防設備点検との違い・対象建物・資格者・罰則を徹底比較【2026年版】
火災による被害を最小限に抑え、安心できる建物環境を維持するためには「消防設備点検」と「防火対象物点検」の2つが欠かせません。
それぞれに点検の役割や対象、実施方法が異なりますが、よく違いが分からない方も多いと思います。
結論から言うと、消防設備点検は消火器や火災報知設備などの「設備(ハード面)」の点検、防火対象物点検は防火管理者の選任や避難経路の管理といった「防火管理体制(ソフト面)」の点検です。
消防設備点検はほぼすべての建物が対象なのに対し、防火対象物点検は収容人員300人以上の特定防火対象物や、階段が1つしかない雑居ビルなどに限って義務になります。
この記事では、「消防設備点検」と「防火対象物点検」2つの違いとそれぞれの対象や内容、罰則などの概要を詳しく解説します。
あわせて、防火対象物点検資格者になるための条件、12条点検(建築基準法の定期報告)や防火設備定期検査との違い、防火管理者との関係もまとめました。
建物の管理者として、消防・防火に関する必要な知識を身につけたい方はぜひ最後までご覧ください。
執筆:松岡 星志郎(株式会社テックビルケア)
用途・収容人員・階段の数がわかれば、点検が必要かどうかをお調べできます。
消防設備点検と防火対象物点検をまとめてご依頼いただくことも可能です。
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1. 消防設備点検と防火対象物点検の違いを比較 — ハード面とソフト面の点検
2つの違いは「何を点検するか」「どの建物が対象か」「誰が点検するか」の3点に集約されます。
まずは全体像を比較表で押さえましょう。
消防設備点検と防火対象物点検の違いを一言でいうと、消防設備点検がハード面の点検であるのに対し、防火対象物点検はソフト面での点検である点です。
消防設備点検は、火災時に消火器やスプリンクラー、火災報知器などの消防用設備が、正常に作動するかを確認します。
一方、防火対象物点検は、防火管理上必要なことが実施されているか、基準を満たしているかを確認する点検です。
具体的には、防火管理者が選任されているか、避難や消火のための訓練をおこなっているか、避難経路に避難の妨げになる物を置いていないかなどを確認します。
万が一の火災発生時に効力を発揮する消防設備と、避難や消火活動などの人々がとる行動、その両輪が適正に機能することによって被害を最小限にとどめ、火災から身を守ることにつながります。
| 項目 | 消防設備点検 | 防火対象物点検 |
|---|---|---|
| 対象となる建物 | 防火対象物 | 特定用途の防火対象物 |
| 点検内容 | 消防用設備等ハード面の点検 | 防火管理体制などソフト面の点検 |
| 点検回数 | 年2回 機器点検:6カ月に1回 総合点検:1年に1回 | 年1回 |
| 必要な資格 | 消防設備士 消防設備点検資格者など | 防火対象物点検資格者 |
| 報告の回数 | 特定防火対象物:年1回 非特定防火対象物:3年に1回 | 年1回 |
| 罰則 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 30万円以下の罰金または拘留 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 30万円以下の罰金または拘留 |
| 法的根拠 | 消防法第17条の3の3 | 消防法第8条の2の2 |
※2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役」は「拘禁刑」に一本化されたため、表記を更新しています。
なお、消防設備点検の正式名称は、消防法上「消防用設備等点検」といいます。
12条点検・防火設備定期検査・防災管理点検との違い
消防法の点検(消防設備点検・防火対象物点検)と、建築基準法の点検(12条点検)は、根拠法も報告先も別物です。
「防火」「点検」という言葉が共通するため混同されやすいので、建物にかかわる主な定期点検を一覧にしました。
| 点検の種類 | 根拠法 | 主な点検対象 | 頻度・報告 | 報告先 |
|---|---|---|---|---|
| 消防設備点検 | 消防法 | 消火器・自動火災報知設備・誘導灯など | 点検年2回/報告1年または3年に1回 | 消防署 |
| 防火対象物点検 | 消防法 | 防火管理者の選任、避難経路、防炎物品など | 年1回点検・報告 | 消防署 |
| 防災管理点検 | 消防法 | 地震などの災害に備えた防災管理体制(大規模建物) | 年1回点検・報告 | 消防署 |
| 特定建築物定期調査(12条点検) | 建築基準法 | 外壁・屋上・避難施設など建物本体 | おおむね3年に1回(用途・自治体で異なる) | 特定行政庁 |
| 防火設備定期検査 | 建築基準法 | 防火扉・防火シャッターなど随時閉鎖式の防火設備 | 年1回 | 特定行政庁 |
防火扉や防火シャッターは、防火対象物点検では「開閉の妨げになる物が置かれていないか(管理)」を確認し、防火設備定期検査では「閉鎖装置などが正しく作動するか(機能)」を確認します。
同じ設備でも、見る観点が違う点に注意しましょう。
12条点検の対象建物や内容は定期報告が必要な特定建築物とは?対象の建物や定期調査の内容も解説!で詳しく紹介しています。
消防設備士・点検資格者・防火管理者の違い
点検を「実施する人」と、建物の防火管理を「日常的に担う人」は別の資格です。
防火管理者は点検を受ける側、消防設備士や点検資格者は点検をする側と考えるとわかりやすいでしょう。
| 資格・役割 | 主にできること | 取得方法 |
|---|---|---|
| 消防設備士(甲種・乙種) | 消防用設備等の点検・整備(甲種は工事も) | 国家試験に合格 |
| 消防設備点検資格者 | 消防用設備等の点検(工事・整備は不可) | 登録講習機関の講習を修了 |
| 防火対象物点検資格者 | 防火対象物点検(防火管理体制の点検) | 実務経験を満たしたうえで講習を修了し、考査に合格 |
| 防火管理者 | 消防計画の作成、避難訓練、火気の監督など建物の防火管理 | 甲種・乙種の防火管理講習を修了し、管理権原者から選任される |
2. 消防設備点検の概要 — 点検内容・対象建物・実施者・罰則
消防設備点検は、一戸建て住宅を除くほぼすべての建物で、6カ月ごとの機器点検と1年ごとの総合点検が必要です。
延べ面積や用途によっては、有資格者による点検が義務になります。
防火対象物の関係者は、消防設備等または特殊消防設備等を定期点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければなりません。
参照:総務省消防庁「消防設備点検報告制度とは」
具体的な点検の概要は下記のとおりです。
- 消防設備点検の点検内容
- 消防設備点検の対象となる建物
- 消防設備点検実施者
- 消防設備点検・報告の回数と罰則
順に解説します。
消防設備点検の点検内容
点検は「見た目と簡単な操作で確認する機器点検」と「実際に動かして確認する総合点検」の2種類です。
消防設備点検は、消火器や煙感知器、火災報知器、火災受信機、屋内消火栓、避難設備、誘導灯などの一般的な消防設備が点検の対象です。
また、点検の種類には、総合点検と機器点検の2種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 総合点検 | 消防設備の全部もしくは一部を実際に稼働させ、使用することにより、総合的な機能を点検する。 |
| 機器点検 | 消火器をはじめとする消防設備が、適切に設置されているか、損傷はないかなどを主に外観からの目視または簡易的な操作により点検する。 |
機器点検と総合点検の違いは消防設備点検|機器点検と総合点検の違い頻度・項目・罰則をプロが解説【2026年版】で設備ごとに詳しく解説しています。
消防設備点検の対象となる建物
マンションや事務所、店舗、工場なども含め、「人が使う建物」のほとんどが対象です。
消防設備点検の対象となる建物は、一戸建ての個人住宅を除く、ほぼすべての建物が当てはまる「防火対象物」が対象です。
防火対象物とは:消防法で定められた建築物、山林、船、車両などを指します。
参照:総務省消防庁[防火対象物] 参考1-1
対象となる建物の区分や用途ごとの考え方は、消防設備点検が義務づけられている建物は?点検の種類や頻度も解説!もあわせてご覧ください。
消防設備点検実施者
延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物や、階段が1つしかない特定一階段等防火対象物などは、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必須です。

下記の条件に当てはまる防火対象物に関しては、消防設備士または消防設備点検資格者による消防設備点検が義務づけられています。
【有資格者による消防設備点検が義務づけられている防火対象物】
- 延べ面積が1,000平方メートル以上の特定防火対象物※1
- 延べ面積が1,000平方メートル以上の非特定防火対象物※2で、消防長または消防署長が指定するもの
- 特定一階段等防火対象物※3
- 全域放出方式の二酸化炭素消火設備が設置されている防火対象物
※1 特定防火対象物:不特定多数の人が出入りする建物、または災害時などに避難が困難と予想される施設のことです。
具体的には、ホテルや百貨店、地下街、病院、老人ホームなどの社会福祉施設などが含まれます。
※2 非特定防火対象物:特定防火対象物以外の防火対象物のことで、収容人数は多くても出入りする人が限られており、火災が発生した場合に避難が特定防火対象物に比べ比較的容易な施設のことです。
具体的には、共同住宅や学校、集会場、事務所、工場、倉庫などがあげられます。
※3 特定一階段等防火対象物:屋内に避難に使用できる直通階段が1つしかなく、地階または3階以上に不特定多数の人が利用する特定用途部分がある防火対象物です。
具体的には、劇場や映画館、キャバレー、ナイトクラブ、カフェなどが該当します。
上記の対象とならない建物の消防設備点検は、有資格者でなくても点検が可能となっていますが、設備の専門性が高いこともあり、専門の点検会社に依頼するケースが一般的です。
消防設備点検・報告の回数と罰則
点検は年2回、報告は特定防火対象物が1年に1回、非特定防火対象物が3年に1回です。
報告を怠ると、30万円以下の罰金または拘留の対象になります。
消防設備点検の必要回数は、総合点検が1年に1度、機器点検は6カ月に1回となっています。
また、点検後には点検結果報告書を作成し、防火対象物の関係者が、管轄する消防署に提出する必要があります。
報告の頻度は、特定防火対象物か非特定防火対象物かによって異なり、点検のたびに報告する必要はありません。
| 対象となる防火対象物 | 特定防火対象物 | 非特定防火対象物 |
|---|---|---|
| 報告の回数 | 1年に1回 | 3年に1回 |
上記の点検・報告を怠った場合には厳しい罰則があります。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 消防設備の設置命令に違反した場合 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(消防法第41条) |
| 消防設備の点検を報告しなかった、または虚偽の報告をした場合 | 30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条) |
点検の頻度や消防署への届出の流れは消防点検(消防用設備等点検)と報告義務とは?法定点検の項目や罰則について解説で詳しく解説しています。
3. 防火対象物点検の概要 — 制度ができた理由と全体像
防火対象物点検は「設備があっても、避難経路がふさがれ、訓練もされていなければ人は逃げられない」という教訓から生まれた制度です。
年1回、防火対象物点検資格者が建物の防火管理の状態をチェックし、消防署に報告します。
次に、防火対象物点検の概要をみてみましょう。
2001年9月に発生した新宿区歌舞伎町ビルでの火災事故では、44名もの命が失われました。
多くの犠牲者が出てしまった要因は、階段に障害物が多数置かれていたため避難できなかったこと、消防設備を点検していなかったこと、防火管理者が選任されておらず、避難訓練が実施されていなかったことなどがあげられています。
このような惨事を繰り返さないために制定されたのが、防火対象物点検報告制度です。
防火対象物点検は、建物の防火管理が正常・円滑におこなわれているか、防火基準を満たしているかを点検します。
防火対象物点検の概要は下記のとおりです。
- 防火対象物点検の点検内容
- 防火対象物点検の対象となる建物
- 防火対象物点検実施者
- 防火対象物点検・報告の回数と罰則
- 防火対象物点検の流れ
- 防火対象物点検の表示制度
順に説明します。
対象
収容人員300人以上の特定防火対象物、または階段が1つしかない特定一階段等防火対象物(収容人員30人以上)など。
点検する人
講習を修了し、考査に合格した防火対象物点検資格者。
頻度
1年に1回点検し、その結果を消防長または消防署長に報告。
特例
3年連続で基準を満たすなど優良と認められると、点検・報告が3年間免除される特例認定を受けられる。
4. 防火対象物点検の点検内容 — 対象建物・資格者・流れ・表示制度
点検で見られるのは「防火管理者・消防計画・訓練」「避難経路・防火戸の管理」「防炎物品」「消防用設備の設置状況」といった、日々の運用の部分です。
普段の管理ができていれば、特別な準備は必要ありません。
防火対象物点検の主な内容は次のとおりです。
- 防火管理者を選任しているか、避難訓練を実施しているか
- 防火戸の開閉を妨げる障害物が置かれていないか
- カーテンなどの防炎物品に防炎性能があることの表示がつけられているか
- 非常階段に避難を妨げる障害物が置かれていないか
- 消防用設備が設置されているか
階段や廊下への段ボール・自転車・植木鉢の放置、防火戸の前に置かれた荷物やドアストッパーは、点検で特に指摘が多い項目です。
テナントの入れ替えや模様替えのあとに、防炎ラベルのないカーテンやじゅうたんに替わっているケースもあります。
点検の直前だけ片づけるのではなく、日常の巡回でチェックする習慣をつけましょう。
防火対象物点検の対象となる建物
ポイントは「特定用途か」「収容人員」「階段の数」の3つで、延べ面積だけでは決まりません。
小さな雑居ビルでも、階段が1つしかなく3階以上に飲食店などが入っていれば対象になる場合があります。
下記に該当する防火対象物(建物)の所有者または管理者は、防火対象物点検資格者に防火管理上必要な業務などを点検させなければなりません。
【防火対象物点検が義務となる防火対象物】
- 特定防火対象物で収容人数が300人以上の建物(百貨店や遊技場、映画館、病院、福祉施設など)
- 収容人数が30人以上の建物で下記の要件に該当するもの
・特定用途部分が地階または3階以上にあるもの(避難階は除く)
・階段が1つしかないもの
| 区分 | 用途 | 収容人員 | その他の条件 |
|---|---|---|---|
| ① | 特定防火対象物(百貨店・飲食店・ホテル・病院・福祉施設など) | 300人以上 | ― |
| ② | 特定用途部分を含む建物 | 30人以上(避難が困難な人が入所する施設は10人以上) | 特定用途部分が地階または3階以上にあり、屋内の避難階段が1つしかない |
収容人員の数え方は用途によって異なり、従業員数と客席数・ベッド数などを合算して算定します。
自社の建物が対象になるか判断に迷う場合は、管轄の消防署か点検業者に確認しましょう。
防火対象物点検実施者
防火対象物点検は、消防設備士とは別の資格である「防火対象物点検資格者」でなければ実施できません。
防火対象物点検は、防火対象物点検資格者により実施されなければなりません。
防火対象物点検資格者の条件は以下のとおりです。
- 火災予防の専門知識や消防防災の分野における一定期間以上の実務経験を有する者
- 総務大臣の登録講習機関である一般社団法人日本消防設備安全センターによる講習を修了した者
- 上記講習後におこなわれる考査に合格し、安全センターが発行する免状の交付を受けている者
防火対象物点検資格者になるには — 受講資格と講習
防火対象物点検資格者になるには、消防設備士などで3年以上の実務経験を積んだうえで、4日間の講習を受けて修了考査に合格する必要があります。
資格取得後も5年ごとに再講習を受けなければなりません。
| 主な受講資格(一例) | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 消防設備士 | 消防用設備等の工事・整備・点検の実務経験3年以上 |
| 消防設備点検資格者 | 消防用設備等の点検の実務経験3年以上 |
| 防火管理者として選任された人 | 防火管理者としての実務経験3年以上 |
| 防火管理講習の修了者 | 防火管理上必要な業務の実務経験5年以上 |
このほかにも、建築士や消防職員の経験者など、いくつかの受講資格が定められています。
講習日程や申込方法、最新の受講資格は、登録講習機関である日本消防設備安全センターのホームページで確認してください。
防火対象物点検は、資格者が自社にいなくても、点検会社に依頼すれば実施できます。
テックビルケアでは、防火対象物点検と消防設備点検をまとめてお引き受けし、報告書の作成から消防署への提出までサポートしています。
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防火対象物点検・報告の回数と罰則
点検・報告は1年に1回で、報告しなかったり虚偽の報告をしたりすると、行為者だけでなく法人にも30万円以下の罰金が科されます。
防火対象物点検は1年に1度実施し、その結果を管轄する消防署長に報告しなければなりません。
防火対象物点検の報告をしなかった、あるいは虚偽の報告をした者には、30万円以下の罰金または拘留が、その法人に対しては30万円以下の罰金が科せられます。
また、点検や立入検査で防火管理上の不備が見つかり、消防署長などから出された命令に従わない場合は、拘禁刑を含むより重い罰則の対象になることがあります。
命令を受けた建物は、消防機関のホームページなどで公表される場合もあるため、指摘を受けたら早めに改善しましょう。
防火対象物点検の流れ
依頼から報告書の提出までは、大きく3つのステップで進みます。
防火対象物点検の流れは以下のとおりです。
点検を依頼する
建物の所有者または管理者は、防火対象物点検資格者に点検を依頼します。
点検と報告書の作成
防火対象物点検資格者は、防火対象物点検を実施しその結果を報告書にまとめます。
消防署へ提出する
建物の所有者または管理者は、防火対象物点検資格者が作成した報告書を管轄する消防長または消防署長に提出しなければなりません。
点検当日は、消防計画や避難訓練の実施記録、防火管理者の選任届の控えなどを確認されることが多いため、あらかじめ書類をそろえておくとスムーズです。
不備が見つかった場合は、改善してから報告するのが基本です。
防火対象物点検の表示制度
基準を満たすと「防火基準点検済証」を、3年連続で基準を満たすなど特例認定を受けると「防火優良認定証」を掲示でき、点検・報告が3年間免除されます。
防火対象物点検で一定基準をクリアした場合には、その建物内で「防火基準点検済証」を表示できます。
また、3年連続して点検基準をクリアしていると認められた場合には、以後の3年間は防火対象物点検と報告の免除を受けるための特例申請が可能です。
特例申請が認められれば「防火優良認定証」を表示できます。
このように、建物内に防火基準点検済証や防火優良認定証を掲示することによって、建物の利用者に安心感を与え、建物を管理する側への信頼をえることにつながるでしょう。
| 表示の種類 | 表示できる条件 | 有効期間・点検報告 |
|---|---|---|
| 防火基準点検済証 | 防火対象物点検で、点検基準にすべて適合している | 1年(毎年の点検・報告が必要) |
| 防火優良認定証 | 3年以上継続して消防法令を遵守しているなど、消防長または消防署長の特例認定を受けた | 3年(その間の点検・報告が免除) |
特例認定の有効期間が過ぎたあとは、改めて点検・報告が必要になります。
また、管理権原者が変わった場合や、消防法令違反があった場合などは、認定が失効することがあるので注意しましょう。
5. 防火管理者の役割と概要 — 選任が必要な建物と甲種・乙種
防火管理者は、防火対象物点検で「選任されているか」「消防計画どおりに訓練しているか」をチェックされる、建物の防火管理の責任者です。
防火対象物点検と切っても切れない関係にあるため、役割と選任基準を確認しておきましょう。

防火管理者とは、建物の所有者や社長などの管理権限者から選任を受け、その建物の管理的立場に立ち、防火管理をおこなう者です。
消防法で定める防火管理者講習の課程を修了しており、一定の資格を有しています。
防火管理者の主な役割は下記のとおりです。
- 消防計画を作成し、それに基づいて避難訓練などをおこなう
- 消防設備の維持・管理をし、消防署への届け出などをおこなう
- 避難・防災上必要な構造および設備の維持管理
- 火気使用に関する監督
- その他防災上に必要な業務
それぞれみていきましょう。
防火管理者が必要な建物
防火管理者の選任が必要かどうかは「収容人員」で決まり、延べ面積は甲種・乙種のどちらが必要かの判断に使われます。
防火管理者が必要な建物の条件は以下のとおりです。
- 特定防火対象物において収容人数が30人以上の建物(延べ面積300平方メートル以上の場合は甲種防火管理者が必要)
・劇場や映画館、百貨店やスーパーマーケット、ホテルなど不特定多数の人を収容する建物
・幼稚園や病院、社会福祉施設など災害時要援護者を収容する建物 - 非特定防火対象物において収容人数が50人以上の建物(延べ面積500平方メートル以上の場合は甲種防火管理者が必要)
・事務所や共同住宅工場など、多数の人が勤務、居住する建物
上記に該当する建物の場合には、防火管理者を選任する必要があります。
なお、老人ホームなど避難に介助が必要な人が入所する施設では、収容人員10人以上で選任が必要になります。
防火管理者の権限や、未選任の場合の罰則については防火管理者の権限と役割を消防法から解説。選任義務・甲種乙種の違い・罰則までで詳しく解説しています。
2種類の防火管理者講習
甲種はすべての建物、乙種は小規模な建物でのみ防火管理者になれる資格です。
防火管理者講習には2種類あり、建物により必要な資格が異なります。
- 甲種防火管理講習(2日間の講習)
- 乙種防火管理者講習(1日の講習)
甲種防火管理者とは、用途や規模・収容人数にかかわらず、すべての防火対象物で防火管理者として認められる資格のことです。
これに対し乙種防火管理者は、選任できる防火対象物が小規模なものに限定されます。
| 比較項目 | 甲種防火管理者 | 乙種防火管理者 |
|---|---|---|
| 講習日数 | 2日間 | 1日 |
| 選任できる建物 | すべての防火対象物 | 延べ面積が特定用途300㎡未満・非特定用途500㎡未満の建物など |
| 向いている人 | 中規模以上のビル・施設・マンションの管理者 | 小規模な店舗・事務所の管理者 |
6. 消防設備点検と防火対象物点検の違いと必要性を理解して安心・安全を確保しよう!
消防設備点検と防火対象物点検は、いずれも火災時に被害を最小限に抑えるための重要な取り組みです。
消防設備点検は、設備が正常に作動するかを確認し、防火対象物点検は建物全体の防火安全体制をチェックします。
これらの点検は法律に基づいて義務化されており、怠れば罰則を受けるだけでなく、もしものときに被害を甚大にしてしまう可能性もあります。
この二つの点検の重要性を正しく理解し、定期的に実施することで、安心で安全な環境を守りましょう。
ハードとソフトの違い
消防設備点検は設備、防火対象物点検は防火管理体制を点検します。
対象の違い
消防設備点検はほぼすべての建物、防火対象物点検は収容人員300人以上の特定用途や特定一階段等の建物が対象です。
頻度の違い
消防設備点検は年2回(報告は1年または3年ごと)、防火対象物点検は年1回点検・報告です。
まとめて依頼が効率的
両方が必要な建物は、同じ業者にまとめて依頼すると日程調整や書類管理の手間を減らせます。
7. よくある質問(FAQ)
Qうちの建物が防火対象物点検の対象かどうか、どうやって調べればいいですか?
A建物の用途(特定用途かどうか)、収容人員、避難に使える階段の数を確認します。
特定防火対象物で収容人員300人以上、または特定用途部分が地階・3階以上にあり階段が1つしかない建物で収容人員30人以上の場合が主な対象です。
判断が難しい場合は、管轄の消防署や点検業者に相談するのが確実です。
Q消防設備点検と防火対象物点検は同じ日にまとめて実施できますか?
Aはい、両方の資格を持つ点検業者であれば、同じ日にまとめて実施できる場合が多いです。
立ち会いの回数が減り、報告書の管理も一本化できるため、建物管理の手間を減らせます。
Q消防設備士の資格があれば、防火対象物点検もできますか?
Aできません。
防火対象物点検は「防火対象物点検資格者」でなければ実施できない点検です。
消防設備士として3年以上の実務経験があれば、講習を受けて防火対象物点検資格者を取得できます。
Q12条点検(定期報告)をしていれば、消防の点検は不要ですか?
A不要にはなりません。
12条点検は建築基準法に基づく建物本体や防火設備の調査・検査で、消防法に基づく消防設備点検・防火対象物点検とは別の義務です。
報告先も、12条点検は特定行政庁、消防の点検は消防署と異なります。
Q防火対象物点検で不備が見つかったらどうなりますか?
A不備がある場合は「防火基準点検済証」を表示できません。
避難経路の物品の撤去や消防計画の見直しなど、指摘事項を改善したうえで報告するのが基本です。
改善しないまま放置して消防署長などから命令を受けると、罰則の対象になることがあります。
Q防火対象物点検の費用はどのくらいかかりますか?
A建物の規模・用途・テナント数などによって変わるため、一律ではありません。
消防設備点検とまとめて依頼すると、個別に依頼するより費用や手間を抑えられることがあります。
テックビルケアでは建物の条件をお伺いしたうえでお見積りしますので、お見積りフォームからお気軽にご相談ください。
消防設備点検・防火対象物点検はテックビルケアへ
「自分の建物が防火対象物点検の対象かわからない」「消防設備点検とまとめて依頼したい」といったご相談を承っています。
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