非常用発電機の負荷試験は毎年必要?6年周期と最新通知を実務解説

非常用発電機・法定点検

非常用発電機の負荷試験は毎年必要?
6年周期と最新通知を実務解説

公開日:2026年8月4日 カテゴリ:非常用発電機・消防設備 読了時間:約5分

「うちの発電機は毎年負荷試験をしないといけないのか、それとも6年に1回でいいのか分からない」——ビルオーナーや管理会社の担当者から、こうした相談を受けることが増えています。

非常用発電機(自家発電設備)の点検方法は、2018年6月の基準改正によって大きく変わりました。従来は原則として毎年の負荷試験が必要でしたが、一定の条件を満たせば6年に1回まで周期を延ばせるようになっています。ただし「6年でいい」という情報だけが独り歩きし、条件を満たさないまま延長してしまっているケースも見受けられます。本記事では、大阪・東京の2拠点で消防設備点検と非常用発電機の負荷試験に携わってきたテックビルケアが、制度の変更点と実務で押さえておくべきポイントを整理します。

1. 非常用発電機の負荷試験とは — 消防法上の位置づけ

非常用発電機は、停電時に自動火災報知設備やスプリンクラー、消火栓ポンプなど消防用設備に電力を供給する装置です。消防法では、これらの消防用設備等と同様に、自家発電設備についても定期点検と消防署への報告を義務付けています。

点検には半年に1回の「機器点検」と1年に1回の「総合点検」があり、負荷試験(負荷運転)は総合点検の一環として位置づけられています。実際に発電機を稼働させ、規定の負荷をかけた状態で一定時間運転し、出力や排気温度、振動などに異常がないかを確認する試験です。

屋上の非常用自家発電設備を点検するテックビルケアの女性スタッフ
非常用発電機は停電時に消防用設備等へ電力を供給する重要設備。定期的な点検が消防法で義務付けられている
当社の強み

テックビルケアでは、実負荷試験のほか、建物側の電気設備に負担をかけずに済む模擬負荷試験(疑似負荷装置を使った試験)にも対応しています。停電を伴わないため、テナントの営業への影響を抑えられます。

2. 「毎年」から「6年に1回」へ — 2018年の点検基準改正

負荷試験は長年、原則として年1回の実施が求められてきました。しかし発電機を稼働させる負荷試験には、商用電源を一時的に遮断する必要があり、病院やデータセンターなど停電の影響が大きい施設では実施の負担が課題になっていました。

こうした背景を受け、2018年6月1日に消防庁の点検基準が改正され、負荷試験に代わる点検方法として「内部観察等」が新設されました。あわせて、一定の条件下では点検周期を6年に1回まで延ばせるようになっています。

項目 改正前 改正後(2018年6月〜)
点検方法 負荷運転(負荷試験)のみ 負荷運転 または 内部観察等
実施周期 原則1年に1回 条件を満たせば6年に1回
ガスタービン機 負荷運転が必要 負荷運転は不要(換気性能点検のみ)
ポイント

周期が延びたのは「点検が不要になった」という意味ではありません。負荷試験に代わる内部観察等や、日頃の保全策とセットで運転性能を確認し続けることが前提になっています。

3. 6年周期にするための条件 — 予防的な保全策とは

6年周期が認められるのは、「運転性能の維持に係る予防的な保全策」が講じられている場合に限られます。負荷試験で不具合を発見するのではなく、日頃のメンテナンスで不具合の芽を摘んでおく、という考え方に基づいた制度です。

消防庁の点検要領では、以下のような保全策が挙げられています。

  • 潤滑油・冷却水・燃料フィルターなどの消耗品を、メーカーが指定する交換期間内に交換していること
  • 予熱栓・点火栓など始動系統の部品を年1回程度確認していること
  • 保全計画に基づき、部品交換や整備の記録を保管していること
ポイント

「保全策を実施したつもり」でも、記録が残っていなければ消防署への点検報告で6年周期の根拠として認められません。点検報告書には、保全策を実施したことを示す書類の添付が必要です。

4. 負荷運転と内部観察等 — 点検方法の違いと選び方

6年に1回の周期になった場合でも、実施する点検の中身は「負荷運転」と「内部観察等」のどちらかを選ぶ形になります。

屋上に設置された非常用自家発電設備(発電設備)の外観
屋上に設置された非常用自家発電設備。設置場所の制約により負荷運転の実施が難しいケースもある
項目 負荷運転(負荷試験) 内部観察等
内容 実際に発電機を稼働させ、規定負荷をかけて運転 過給機翼・排気管等の内部観察、燃料噴射弁の動作確認、潤滑油・冷却水の成分分析等
商用電源の遮断 必要(実負荷試験の場合) 不要
設置場所の制約 屋上・地下等では実施しにくい場合がある 制約を受けにくい
向いているケース 疑似負荷装置を使えば停電を避けつつ実施可能 分解点検の知見を持つ専門業者が必要

どちらを選ぶかは、発電機の設置環境や建物の使用状況によって変わります。停電に敏感な施設は模擬負荷試験や内部観察等を、比較的融通が利く施設は実負荷試験を選ぶケースが多いというのが実感です。

5. 実務でつまずきやすいポイント

現場で相談を受けていると、次のようなつまずきが目立ちます。

  • 「6年周期にできる」と聞いて保全策を後回しにし、いざ点検報告の時期になって根拠書類がそろわない
  • 発電機の設置から6年以上、負荷運転そのものを一度も行っていない状態で内部観察等に切り替えようとする
  • 点検業者によって「6年でよい」「毎年必要」と説明が食い違い、管理者が判断に迷う
疑似負荷試験機を操作し非常用発電機の負荷試験を行う技術者
疑似負荷試験機を使えば、商用電源を遮断せずに負荷運転相当の試験を実施できる

6年周期はあくまで「予防的な保全策とセット」の制度です。保全策を実施していない、あるいは記録が残っていない場合は、これまでどおり1年に1回の負荷試験が必要になります。まずは自分の建物の発電機がどちらの運用に該当するのか、点検業者に確認することをおすすめします。

テックビルケアでは、大阪・東京の2拠点体制で、消防設備点検とあわせて非常用発電機の負荷試験・模擬負荷試験にも対応しています。保全計画の記録整備から点検報告書の作成まで、実務面のサポートも可能です。

6. よくある質問(FAQ)

非常用発電機の負荷試験は本当に6年に1回でいいのですか?

予防的な保全策が講じられている場合に限り、6年に1回まで延長できます。保全策が確認できない場合は、原則どおり年1回の負荷試験が必要です。

予防的な保全策を行っていたかどうか分からない場合はどうすればいいですか?

過去の点検報告書やメンテナンス記録を確認し、部品交換の履歴が残っているか点検業者に確認してもらうのが確実です。記録が不十分な場合は、次回から年1回の負荷試験に戻すか、記録の整備から始める必要があります。

ガスタービン式の発電機でも負荷試験は必要ですか?

原動機がガスタービンの設備は、負荷運転が不要とされています。かわりに無負荷運転時等に換気性能点検を実施します。

実負荷試験と模擬負荷試験はどちらを選べばいいですか?

商用電源の遮断を避けたい場合や、屋上・地下などに設置されている場合は、模擬負荷試験(疑似負荷装置を使った試験)が向いています。設備の状態や設置環境によって適したほうをご提案しています。

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株式会社テックビルケア

防災インフラ・住宅診断のプロフェッショナル。消防設備点検・ドローン外壁調査・非常用発電機負荷試験・ホームインスペクションなど、建物の安全を守るトータルサービスを提供。大阪・東京の2拠点体制で全国対応。40年以上の実績。

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