外壁の赤外線調査とは?メリット・デメリットと調査できない条件を解説

外壁調査

外壁の赤外線調査とは?
メリット・デメリットと調査できない条件を解説

公開日:2026年4月17日 カテゴリ:外壁調査・赤外線 読了時間:約8分

「外壁のタイル調査を指摘されたが、足場を組むと費用が高すぎる」「赤外線調査が安いと聞いたが、本当に精度は大丈夫なのか」——。ビルオーナーや管理組合の方から、こうしたご相談を数多くいただいています。

赤外線による外壁調査は、従来の打診調査と比べてコストを50〜70%削減でき、足場も不要な調査手法です。一方で、天候や建物の条件によっては使えないケースもあり、万能ではありません。

本記事では、40年以上にわたり建物調査に携わってきた当社の経験をもとに、赤外線外壁調査の仕組み・メリット・デメリット、そして調査が適さない具体的な条件まで、現場目線で分かりやすく解説します。

1. 赤外線外壁調査とは? — 仕組みと原理

赤外線外壁調査とは、赤外線サーモグラフィカメラで外壁の表面温度を撮影し、温度分布の違いからタイルの浮きや漏水などの異常を検知する調査方法です。「赤外線法」や「熱画像法」とも呼ばれます。

赤外線サーモグラフィカメラを使用した外壁調査の様子
赤外線カメラで外壁の温度分布を撮影し、異常箇所を特定する

なぜ温度差で異常が分かるのか

外壁タイルが下地から浮いている箇所は、接着面に空気層が生まれます。空気は熱を伝えにくいため、日射で温められた外壁の表面温度は、浮きがある部分とない部分で差が出ます。この温度差を赤外線カメラで捉えることで、見た目では分からない内部の異常を「見える化」できるのです。

近年はドローンに赤外線カメラを搭載する方法が主流になりつつあります。地上からのカメラでは撮影角度に限界がありましたが、ドローンなら高層階でも正面から撮影でき、精度が大きく向上しました。

2. 赤外線調査の5つのメリット

1

コストを50〜70%削減

足場やゴンドラの設置が不要なため、調査費用を大幅に抑えられます。特に高層建物ほどコスト削減効果が大きくなります。

2

調査期間が1〜3日と短い

足場工法では数週間かかる調査が、赤外線調査なら最短1日で完了。テナントや居住者の生活への影響も最小限です。

3

高所作業が不要で安全

作業者は地上またはドローンの操縦で調査を行います。墜落・転落のリスクがなく、労働安全の面でも優れています。

4

建物を傷つけない非破壊調査

打診調査ではハンマーで叩くため微細な損傷の可能性がありますが、赤外線調査は非接触。外壁にまったく触れずに調査できます。

5

デジタルデータで経年比較が可能

撮影した熱画像はデジタルデータとして保存されるため、次回の調査結果と比較して劣化の進行を定量的に把握できます。長期修繕計画の精度向上にも役立ちます。

3. 知っておきたいデメリットと注意点

メリットの多い赤外線調査ですが、万能ではありません。依頼する前に知っておくべきデメリットを整理します。

ドローンを使った赤外線外壁調査の現場風景
ドローンによる赤外線調査は天候条件に左右されるため、調査日の選定が重要になる

天候に左右される

赤外線調査は外壁の温度差を利用するため、曇りや雨の日は温度差が出にくく、精度が大���に低下します。理想的な調査には晴天が必要で、天候不順が続くとスケジュールが延びることがあります。

微細な浮きの検出に限界がある

打診調査では熟練の技術者が音の違いで微小な浮きまで判別できますが、赤外線調査ではごく小さな浮き(目安として10cm角未満)は温度差に表れにくく、見逃す可能性があります。

解析に高度な専門知識が必要

赤外線画像の温度差は「浮き」以外にも、日影・結露・汚れなど、さまざまな要因で生じます。正確な診断には、建築と赤外線の両方の知識を持つ技術者による解析が不可欠です。経験の浅い業者では誤診のリスクがあります。

すべての外壁材に対応できるわけではない

赤外線調査はタイル仕上げの外壁に最も適しています。金属パネルやガラスカーテンウォールなど、赤外線を強く反射する素材では正確な温度測定が難しく、調査対象外となるケースがあります。

注意

赤外線調査の結果だけで補修範囲を確定させるのは危険です。赤外線で異常の疑いがある箇所は、打診やコア抜きなどの確認調査を併用することで、より正確な診断が可能になります。

4. 赤外線調査が適さない条件

赤外線調査を依頼する前に確認しておきたいのが、調査が難しい、または精度が著しく低下する条件です。以下に該当する場合は、打診調査やロープアクセスとの併用を検討してください。

気象条件による制約

雨天・曇天

日射がなく外壁が十分に温められないため、浮き部分と健全部分の温度差が生じにくくなります。外壁が濡れている場合は水分の蒸発冷却も影響し、正確な測定ができません。

強風(風速5m/s以上)

風が外壁表面の熱を奪い、温度分布を均一化させてしまいます。異常箇所と健全箇所の温度差が縮まり、浮きを見落とすリスクが高まります。

日較差が小さい日(5℃未満)

最高気温と最低気温の差が5℃未満の日は、外壁の温度変化が小さく、浮き部分の温度差が明確に現れません。実務上は日較差7℃以上が理想です。

冬季(外気温が低すぎる日)

外気温が極端に低い環境では、日射による外壁の温度上昇が不十分になります。寒冷地の冬季は調査時期をずらすことが推奨されます。

建物側の条件による制約

北面で終日日陰の壁面

直射日光が当たらない壁面は温度変化が起きにくく、赤外線調査の精度が著しく低下します。北面の調査には打診法との併用が必要です。

隣接建物が近い低層部

隣のビルの影になる壁面や、狭い路地に面した壁面は日射が遮られるため、同様に赤外線調査が困難です。

金属・ガラス等の反射素材

アルミパネルやガラスカーテンウォールは赤外線を反射するため、外壁自体の温度を正しく測定できません。タイル・モルタル・コンクリート仕上げが対象です。

複雑な形状・装飾が多い外壁

凹凸の多いデザインや庇(ひさし)が多い外壁は、カメラの撮影角度が制限され、均一な温度測定が難しくなる場合があります。

当社の対応

テックビルケアでは、事前の現地下見で赤外線調査の適用可否を判定します。赤外線調査が難しい壁面がある場合は、その部分だけ打診調査を組み合わせる「ハイブリッド方式」をご提案。調査精度を確保しながらコストを最適化する方法をご提供しています。

5. 打診調査との費用比較

赤外線調査と打診調査、それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目 赤外線調査(ドローン併用) 打診調査(足場工法)
費用相場(1m²あたり) 120〜400円 280〜700円
調査期間 1〜3日 2〜4週間
足場の要否 不要 必要(設置・撤去に費用と時間)
検出精度 広範囲を効率的に検知。微細な浮きは苦手 熟練者による高精度な判定
天候の影響 晴天が必須。雨天・曇天は不可 天候に左右されにくい
安全性 高所作業なし 墜落・転落リスクあり
データ記録 デジタル保存で経年比較が容易 写真+手書き記録が中心

一般的に、赤外線調査は打診調査と比較して費用を50〜70%削減できます。たとえば外壁面積2,000m²の10階建てビルの場合、足場を組んだ打診調査では200〜500万円ほどかかりますが、ドローンによる赤外線調査なら30〜80万円程度で済むケースが多いです。

費用を最適化するポイント

赤外線調査で全体をスクリーニングし、異常が疑われる箇所だけ打診で確認する「ハイブリッド方式」を採用すると、精度を保ちながら全面打診と比べてコストを大幅に抑えられます。当社ではこのハイブリッド方式を積極的にご提案しています。

6. 建築基準法12条点検との関係

建築基準法第12条では、特定建築物(ホテル・病院・百貨店など一定規模以上の建物)の所有者に対して、定期的な外壁の調査・報告を義務付けています。竣工後または改修後10年を超える建物では、外壁タイル等の全面調査が必要です。

赤外線調査は12条点検に使えるのか

結論から言えば、使えます。国土交通省が公表した「定期報告制度における赤外線調査による外壁調査ガイドライン」において、赤外線調査はテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する調査方法として明確に位置付けられています。ドローンによる赤外線調査も同様に認められています。

ただし、このガイドラインでは調査の実施条件(気象条件・撮影角度・機器の要件など)が細かく定められており、ガイドラインに適合した方法で実施する必要があります。調査業者を選ぶ際は、このガイドラインに準拠した調査体制を持っているかを確認することが大切です。

テックビルケアの対応力

当社は消防設備点検・ドローン外壁調査・特定建築物定期調査をワンストップで対応。12条点検の報告書作成から特定行政庁への提出まで一括でサポートいたします。大阪本社・東京支社の2拠点体制で、関西から関東まで幅広いエリアに対応しています。

7. まとめ — 赤外線調査を選ぶべきケース

赤外線外壁調査は万能ではありませんが、条件が合えばコスト・安全性・スピードの面で打診調査を大きく上回るメリットがあります。最後に、メリットとデメリットを整理します。

メリット

  • 足場不要でコスト50〜70%削減
  • 1〜3日の短期間で完了
  • 高所作業なしで安全
  • 非接触で建物を傷つけない
  • デジタルデータで経年比較可能

デメリット

  • 天候条件に左右される
  • 微細な浮きの検出に限界
  • 解析に専門知識が必要
  • 金属・ガラス外壁には不向き
  • 北面や日陰面は精度が低下

以下のようなケースでは、赤外線調査の導入を検討する価値があります。

  • 足場を組むと費用が高額になる中高層ビル
  • 12条点検の時期が近づいている特定建築物
  • 居住者やテナントへの影響を最小限にしたいマンション・商業ビル
  • 大規模修繕の前に補修箇所を把握したい場合
  • 前回の調査から経年変化を比較したい建物

赤外線調査が向いているか、打診調査との併用が良いのか——。最適な調査方法は建物の条件によって異なります。まずはお気軽にご相談ください。

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株式会社テックビルケア

防災インフラ・住宅診断のプロフェッショナル。消防設備点検・ドローン外壁調査・非常用発電機負荷試験・ホームインスペクションなど、建物の安全を守るトータルサービスを提供。大阪・東京の2拠点体制で全国対応。40年以上の実績。

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