非常用発電機の負荷試験とは?
消防法で義務づけられた点検内容・頻度(6年延長/免除)・罰則を解説
結論から言うと、消防用設備の非常電源として設置された非常用発電機は、消防法にもとづく総合点検で年1回「定格出力の30%以上での負荷運転(負荷試験)」または「内部観察」をおこなう必要があります。
ただし、予防的な保全策を毎年実施していれば負荷試験の周期を最長6年に延ばせるほか、ガスタービン式の発電機は負荷運転そのものが不要です。
非常用発電機は、災害時に電力会社からの電気が止まったときに独自に電力を供給するための設備です。消防法では、この非常用発電機に負荷試験という点検を義務づけています。
地震などの災害により停電となり、同時に火災が発生した場合などに非常用発電機が消防設備に電源を供給できないと、人命に関わり被害が大きくなるからです。この記事では以下の3点について解説します。
- 消防法により義務づけられている非常用発電機の負荷試験の内容
- 非常用発電の負荷試験を実施する頻度
- 義務づけられている点検を怠った場合の罰則
あわせて、負荷試験が免除・延長になる条件、実負荷試験・疑似負荷試験・内部観察の比較表、発電容量別の費用相場、依頼から消防署への報告までの流れも整理しました。
執筆・監修は、大阪・東京の2拠点で40年以上消防設備点検を手がけ、国家資格を持つ自社社員が負荷試験を実施している株式会社テックビルケアです。
1. 消防法により義務づけられている非常用発電機の負荷試験とは? — 目的と対象になる発電機
結論
負荷試験とは、非常用発電機が「エンジンがかかるか」ではなく「消防設備を動かせるだけの電力を出し続けられるか」を確かめる試験です。
対象は、スプリンクラーや屋内消火栓などの消防用設備の非常電源として設置された自家発電設備です。
消防法により義務づけられている非常用発電機の負荷試験とは、非常用発電機が消防設備を正常に稼働させる発電能力を有しているかを確認する試験です。ここでは、非常用発電機の負荷試験が消防法により義務づけられている理由や、消防庁が規定する負荷試験の具体的な内容について説明します。
非常用発電機の負荷試験が消防法により義務づけられている理由
結論:停電と火災が同時に起きたとき、消防用設備を動かす電源は非常用発電機しかないためです。
非常用発電機は災害時に火災が発生し停電となった際に、消防用設備や非常用設備に電力を供給することにより、人命救助や復旧作業に役立ちます。
1,000平方メートル以上の特定防火対象物に設置が義務づけられています。
特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする建物、または災害時に避難することが困難と予想される施設のことです。具体的には、ホテルや映画館、旅館、百貨店、病院や、老人ホーム・障害者施設を含む社会福祉施設などが含まれます。
非常時の電力供給源である重要な非常用発電機が災害時に作動しなければ、多くの人命に関わる大きな被害の拡大につながります。スプリンクラーや消火栓などの消防用設備、非常灯、非常用ベルなどの非常用設備が作動せず、初期消火活動や避難ができなくなるからです。
不測の事態に備えるため、消防法では非常用発電機の負荷試験が義務づけられています。
補足:「1,000㎡以上」の正確な意味
屋内消火栓・スプリンクラーなどの消防用設備には非常電源が必要です。
延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物では、非常電源として「非常電源専用受電設備」が認められず、自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかを設ける必要があります。
このため、該当する建物の多くで非常用発電機が設置されています。1,000㎡未満の建物や非特定防火対象物でも、非常電源として発電機を設置していれば負荷試験の対象です。
実際に停電時に発電機が動かなかった事例と原因は、関連記事「非常用発電機が停電時に動かなかった事例原因と、負荷試験で防ぐための対策」で紹介しています。老人ホームなど福祉施設の場合は「福祉施設の非常用発電機の負荷試験とは?怠った場合のリスクも」もあわせてご覧ください。
それでは、消防法が義務づける負荷試験とはどのような内容なのでしょうか?次の章で詳しく解説します。
消防庁が規定する負荷試験とは?
結論:定格回転速度で、定格出力の30%以上の負荷をかけて一定時間連続運転し、異常がないかを確認する試験です。
消防庁が規定する負荷試験とは、非常用発電機が消防設備を正常に稼働させる発電能力があるかどうかを確認する試験です。
負荷試験は車の走行テストに例えられます。普段使っていない車のエンジンをかけてみるだけでは、本当に走りだせるのかは分かりません。走ったとしても実際に必要な距離を走り続けられるかは分からないのと同様です。
消防法では、連続運転性能や換気の状況を確認するために、定格出力の30%以上の負荷を一定時間与える負荷試験の実施が奨励されています。同時に無負荷運転で内部にたまったカーボンなどを排出し、エンジンの調子を良くすることもできます。
なお、現行の点検基準では、30%以上の負荷運転(または後述する内部観察)は「推奨」ではなく、総合点検で実施すべき項目として定められています。
また、無負荷や軽負荷での試運転を繰り返すと、燃え残った燃料やカーボンがエンジン内部にたまりやすくなります。一定以上の負荷で運転することで、これらを燃焼・排出させる効果も期待できます。
2. 消防法で定められている非常用発電機に必要な2種類の点検 — 機器点検と総合点検
結論
非常用発電機の点検は「6カ月に1回の機器点検」と「1年に1回の総合点検」の2種類で、負荷試験は総合点検の一部です。
ここでは、消防法に基づいて実施が義務づけられている非常用発電機の2種類の点検について説明します。それぞれの点検の違いは、実施する頻度とチェックする内容です。
- 半年に1回の機器点検
- 1年に1回の総合点検
それぞれ説明します。
なお、次項で解説する点検項目は、消防庁告示第14号を参考にしています。
消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件
半年に1回の機器点検
結論:負荷をかけずに始動・運転させ、外観や各部の状態を確認する点検です。
機器点検は半年に1回必要です。これは、消防用設備やその他の機器が正常に動作するかを確認するための定期的な点検です。
非常用発電機を、負荷をかけずに稼働させて、正常に運転できるかどうかを確認します。自動車に例えると、ふかし運転でエンジンの状況をチェックするようなイメージです。具体的には設置状況・始動装置・冷却水・排気筒など、合計18項目を点検します。
1年に1回の総合点検
結論:負荷試験(または内部観察)は、この年1回の総合点検で実施します。
総合点検は1年に1回必要です。消防用設備全体の機能を確認するための検査で、非常用発電機、消火設備、警報装置など、すべての関連機器が正常に作動するかを点検します。
負荷試験は、総合点検の一部です。定格出力30%以上の負荷をかけて異常がないか確認します。点検項目は、自家発電装置の接続部、保護装置、運転性能、切り替え性能などの7項目です。総合点検は、災害発生時を想定して実施する点検です。
| 比較項目 | 機器点検 | 総合点検 |
|---|---|---|
| 頻度 | 6カ月に1回 | 1年に1回 |
| 運転方法 | 無負荷で始動・運転 | 定格出力30%以上の負荷運転(または内部観察) |
| 主な確認内容 | 設置状況・始動装置・冷却水・排気筒など18項目 | 接続部・保護装置・運転性能・切替性能など7項目 |
| わかること | 始動できるか、各部に異常がないか | 非常時に必要な電力を出し続けられるか |
消防設備点検について、さらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
3. 消防法で定められている非常用発電機の2種類の負荷試験と内部観察について — 3つの点検方法を比較
結論
営業や診療を止めずに実施したい施設では、停電が不要な「疑似負荷試験」が現在の主流です。
負荷試験ができない構造・設置状況の場合は、「内部観察」で代替できます。
消防法に基づく非常用発電機の点検方法は、次の3つです。
- 実際の設備を稼働させる「実負荷試験」
- 専用装置を使用する「疑似負荷試験」
- 負荷試験に代わる点検方法「内部観察」
それぞれの方法を解説します。
実際の設備を使用する「実負荷試験」
結論:実際の消防設備まで動作確認できる一方、建物の停電(電源切替)が必要になるのが最大の注意点です。
実負荷試験は、消火栓やスプリンクラーなどの消防設備、非常用照明やエレベーターなどの設備を実際に稼働させ、災害時の状況を想定して非常用発電機に負荷をかける方法です。この方法には以下のメリットとデメリットがあります。
実負荷試験のメリットは、正確な動作確認ができることです。各消防用設備や非常用設備が確実に動作するかどうかを直接確認でき、実際の設備を使ってシミュレーションすることで、安心感が高まります。
実負荷試験のデメリットは、停電が必要なことです。特に、病院など停電が許されない施設では実施が困難です。また、実際の設備を使用するため、高い負荷をかけた点検が難しく、試験の精度が安定しない可能性もあります。
病院で負荷試験を計画する際のポイントは、関連記事「病院の非常用発電機の負荷試験とは?必要性や実施内容を紹介」で解説しています。
専用装置を使用する「疑似負荷試験」
結論:停電なしで、30%以上の安定した負荷を確実にかけられる方法です。
疑似負荷試験は、非常用発電機を消防用設備や非常用設備から一時的に切り離し、専用の装置を用いて負荷をかける方法です。この方法のメリットとデメリットは以下のとおりです。
疑似負荷試験のメリットは、停電が不要な点です。非常用発電機と設備を分離して検査を行うため、病院や施設でも問題なく作業ができます。さらに、専用装置を使用することで安定した負荷をかけることができ、試験の信頼性が高まります。
疑似負荷試験のデメリットは、実際の消火設備や非常用設備の動作確認はできない点です。非常用発電機の動作状況はもちろん確認できますが、電力の供給先である、消火栓やスプリンクラー、非常灯やエレベーターなどの動作確認はできません。疑似負荷試験の欠点は、設備と発電機の連動性を別途確認する必要があることです。しかし、現代では多くの施設で実負荷試験に代わり、疑似負荷試験が採用されています。
負荷試験に代わる点検方法「内部観察」
結論:内部観察を実施すれば負荷試験は不要になりますが、時間・費用ともに負荷試験より大きくなるのが一般的です。
内部観察は、負荷試験が困難な場合の代替点検方法です。発電機の内部を観察して点検する方法で、2018年6月1日に自家発電設備の点検方法が改正される際に追加されました。内部観察を行うことで負荷試験は免除されます。
内部観察で確認する項目は以下のとおりです。
- 過給器コンプレッサ翼およびタービン翼、排気管の内部観察
- 燃料噴射弁の動作確認
- シリンダー摺動面の内部観察
- 潤滑油の成分分析
- 冷却水の成分分析
内部観察では、非常用発電機の各部品を取り外して細かく点検します。異常が見つかった場合は、部品の交換や洗浄を行います。しかし、内部観察は負荷試験に比べて時間と費用がかかります。
疑似負荷試験にかかる時間が2~3時間に対して、内部観察は2~3日かかってしまい、1回当たりの費用も高くなります。作業の内容が複雑で時間も要し、部品のコストも高いためです。さらに、内部観察の場合、基本的には1年ごとに報告書の提出が必要です。
3つの点検方法の比較と選び方
| 比較項目 | 実負荷試験 | 疑似負荷試験 | 内部観察 |
|---|---|---|---|
| 停電の有無 | 必要(電源切替) | 不要 | 発電機停止が必要(建物の停電は不要) |
| 所要時間の目安 | 建物規模による | 2〜3時間 | 2〜3日 |
| 費用感 | 中(段取り・調整費が発生) | 比較的安価 | 高い(分解・部品・分析費) |
| 負荷の安定性 | 30%に届かないことがある | 30%以上を安定してかけられる | 負荷運転はしない |
| 向いている施設 | 休館日を設けられる建物 | 病院・ホテル・老人ホームなど止められない施設 | 負荷試験装置を接続できない設置状況の建物 |
判断のポイントは「建物を停電させられるか」と「30%以上の負荷を確実にかけられるか」の2点です。迷った場合は、まず疑似負荷試験が可能かどうかを業者に確認するのが近道です。
実負荷試験と疑似負荷試験の具体的な手順の違いは、関連記事「非常用発電機の実負荷試験と疑似負荷試験の方法と違いを解説!」で詳しく解説しています。
テックビルケアの疑似負荷試験
テックビルケアでは、停電作業のない疑似負荷試験で、施設の営業を止めずに負荷試験を実施しています。
低圧(200V・400V)・高圧(3,300V・6,600V)どちらの非常用発電機にも対応し、試験は消防設備士などの国家資格を持つ自社社員がおこないます。無料お見積りはこちら
4. 非常用発電機の負荷試験を行う頻度は? — 年1回が原則、6年延長・免除になる条件
結論
負荷試験(または内部観察)は原則年1回ですが、「予防的な保全策」を毎年実施していれば最長6年に1回へ延長できます。
ただし、延長しても6カ月ごとの機器点検と年1回の総合点検そのものは省略できません。
これまで非常用発電機の負荷試験は毎年実施することが義務づけられていましたが、特定の条件を満たす場合には6年に1度の頻度で実施することが認められています。この変更は、以下の実機検証データに基づいています。
- 部品の交換推奨期間:負荷運転で確認された不具合のある部品の交換年推奨期間が6年以上であること
- 未燃焼燃料の蓄積:無負荷運転を6年間行っても、運転性能に支障をきたす未燃焼燃料が蓄積されないこと
ただし、燃料供給や燃焼、冷却が適切に行われなかった場合、未燃焼燃料が蓄積されるリスクがあります。そのため、負荷試験を6年に1度に延長するためには「予防的な保全策」が必要です。
予防的な保全策とは?
結論:消耗部品を毎年確認し、メーカー推奨期間内に交換することで、6年延長の条件を満たせます。
予防的な保全策とは、非常用発電機の各部を定期的に点検し、必要に応じて部品を交換することで、将来起こりうるトラブルを防ぐことです。不具合を予防する保全策には以下の確認や交換が含まれます。
- 1年ごとの確認:予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプが設置されている場合、これらの部品は1年ごとに確認が必要
- メーカー推奨期間内の交換:潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用ベルト、冷却水ホース、シール材、始動用蓄電池等などは、メーカーが指定する推奨交換期間内に交換が必要
また、6年に1回の負荷試験で済ませるために行う予防的な保全策も、基本的には1年ごとの確認が必要になり、消防への書類報告が必要です。
負荷試験が免除・延長・不要になるケース一覧
「免除」といっても、負荷試験以外の点検義務まで無くなるわけではない点に注意が必要です。
| ケース | 負荷試験の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 原則(条件なし) | 年1回、負荷試験または内部観察を実施 | 総合点検の一部として実施・報告する |
| 予防的な保全策を毎年実施 | 最長6年に1回へ延長可 | 保全策の実施記録を毎年の点検票に残す必要がある |
| 内部観察を実施 | その年の負荷試験は不要 | 費用・日数は負荷試験より大きくなりやすい |
| 原動機がガスタービン | 負荷運転は不要 | 機器点検・総合点検のその他の項目は必要 |
| 消防用設備の非常電源ではない発電機 | 消防法の負荷試験の対象外 | 建築基準法の建築設備定期検査など、別の法令の点検対象になる場合がある |
6年延長を選ぶと年ごとの費用は抑えやすい一方、部品交換や保全記録の管理が必要になります。
毎年実施と6年延長のどちらが自分の建物に合うかは、関連記事「非常用発電機 負荷試験の6年延長 vs 毎年実施判断基準と業種別ベストプラクティス(実負荷/疑似負荷の使い分け)」で比較しています。
延長の条件をより詳しく知りたい方は「非常用発電機の負荷試験の周期は6年に延長することができる?知っておくべき点検の条件と内容を解説」を、負荷試験の義務化の経緯は「非常用発電機の負荷試験はいつから義務化された?沿革と6年免除の条件・罰則を解説」をご覧ください。
5. 消防法により義務づけられている非常用発電機の負荷試験などの点検を怠った場合の罰則 — 30万円以下の罰金または拘留
結論
消防法では、点検結果を報告しない・虚偽の報告をした場合、30万円以下の罰金または拘留の対象になり、法人にも罰金刑が科されることがあります(両罰規定)。
非常用発電機の負荷試験などの点検を怠った場合には罰則があります。消防法という法令で、義務として行うことが定められているからです。
電気事業法、建築基準法、消防法、各法令の罰則を表を使って紹介します。
| 罰則の対象者 | 罰則の内容 | 特記事項 | |
|---|---|---|---|
| 電気事業法 | 技術基準に適合していないと認められる発電設備の設置者(電気事業法第40条) | 技術基準への適合命令または使用制限 | 技術基準への適合命令とは、求められている技術基準に合わせた仕事をするよう要求されること |
| 建築基準法 | 検査報告をしない者または虚偽の報告をした者(建築基準法第101条) | 100万円以下の罰金 | 注意すべき点は、負荷試験を実施していても、報告がなければ罰せられるという点です |
| 消防法 | 点検報告をしない者又は虚偽の報告をしたもの(消防法第44条11号) | 30万円以下の罰金または拘留 | 拘留とは拘置所で1~30日間、身柄を拘束される刑罰 |
罰金の額は、建築基準法の100万円以下に比べ、消防法では30万円以下と低いですが、拘留される可能性があり他の法令に比べて最も重い内容となっています。消防法における非常用発電機の点検義務を怠ることは、非常時の人命に関わることであり、また被害の拡大につながる可能性があるからです。
転ばぬ先の杖としても、非常用発電機の負荷試験もしくは内部観察などの点検は必ず行いましょう。
また、前述したホテルや百貨店、映画館など不特定多数の人が出入りする建物や、病院や社会福祉施設など災害時に自力で避難することが困難な人が利用する施設で「特定防火対象物」に指定されているところは、非常用発電機の設置が義務づけられている場合があります。
設置が義務づけられているにも関わらず、設置されていない場合や、設置していても維持管理が不適切で主な機能が失われている場合には、消防組合のホームページや消防本部・消防署または出張所に違反のある建物が公表されます。
今一度、消防設備等に関してよくチェックすることをおすすめします。
よくある誤解:「消防設備点検はしているから大丈夫」
消防設備点検は毎年受けていても、非常用発電機の負荷試験だけが長年未実施になっているケースは少なくありません。
点検業者の報告書に「負荷運転」または「内部観察」の記載があるか、前回の実施年月日はいつかを一度確認してみてください。
消防法違反の罰則と管理者が取るべき是正対応は「消防設備点検を怠るとどうなる?罰則の実態と管理者が今すぐ取るべき是正対応」でも解説しています。
6. 負荷試験後には消防庁が定める総合点検報告書の提出が必要 — 報告先と報告周期
結論:負荷試験の結果は、消防設備の総合点検の結果とあわせて所轄の消防署へ報告します。報告周期は特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です。
非常用発電機の負荷試験を行わなかった場合の罰則を説明しましたが、点検を行っても報告書を提出しなければ、点検を行わなかった場合と同様「30万円以下の罰金もしくは拘留」の内容で罰せられますのでご注意ください。
また、点検を行っていないのに、行ったと虚偽の報告をした場合も同様に罰せられます。
参考:一般財団法人日本消防設備安全センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」
非常用発電機の負荷試験の届け出は所轄の消防署へ行います。負荷試験は消防法における総合点検の1つであるため、届出も消防法の総合点検報告書とともに行います。
負荷試験を行う際は、消防署に提出できる報告書を準備してもらえる業者に依頼しましょう。
消防設備点検と負荷試験を別々の業者に依頼している場合は、負荷試験の結果が点検票に正しく反映されているかを確認しておくと安心です。
7. 非常用発電機の負荷試験の費用相場と依頼の流れ — 発電容量別の料金例と業者選びのポイント
結論
疑似負荷試験の費用は、発電容量45〜120kVAクラスで1回あたり9万〜13万円(税別)程度が目安です。
金額は発電容量・電圧・設置場所(屋上か地下か、ケーブルの引き回し距離)で変わるため、正式な金額は見積りで確認してください。
建物タイプ・発電容量別の費用例
| 建物タイプ | 定格電圧/発電容量 | 負荷運転1回あたりの費用 |
|---|---|---|
| 老人ホーム | 200V/45kVA | 90,000円(税別) |
| 共同住宅 | 200V/60kVA | 100,000円(税別) |
| ビジネスホテル | 200V/120kVA | 130,000円(税別) |
※テックビルケアの料金例。非常用発電機の種類や発電容量により金額は変わります。
見積りを比較するときは、総額だけでなく「疑似負荷試験装置の搬入費」「報告書(結果レポート)作成費」「不具合時の部品交換費」が含まれているかを確認しましょう。
依頼から消防署への報告までの流れ
お問い合わせ・発電機情報の確認
発電容量・電圧・設置場所を確認。銘板の写真や過去の報告書があると見積りがスムーズ
お見積り・現地下見
必要に応じてケーブルの引き回しや試験装置の設置スペースを下見する
日程調整
疑似負荷試験なら停電不要のため、営業日・診療日でも実施可能
負荷試験の実施
始動前点検 → 疑似負荷試験装置の接続 → 30%以上の負荷運転 → 電流・電圧・温度などを測定
結果レポートの受領・消防署へ報告
結果を総合点検の点検票に記載し、消防設備点検結果報告書とともに所轄消防署へ提出
テックビルケアの場合、負荷試験の実施から結果レポートの作成までは、おおむね3週間程度が目安です。
負荷試験の業者を選ぶ4つのポイント
国家資格者が自社で対応するか
消防設備士・電気工事士などの有資格者が実施し、外注に丸投げしていないか
消防署提出用の報告に対応できるか
総合点検の点検票に記載できる形で結果をまとめてくれるか
見積りの内訳が明確か
装置搬入費・報告書作成費・追加費用の条件が明記されているか
消防設備点検とまとめて依頼できるか
業者を一本化すると、報告書の整合性がとりやすく費用も抑えやすい
近年は負荷試験のニーズが高まり、異業種からの参入も増えています。極端に安い見積りの場合は、実施者の資格や報告書の内容を事前に確認しておくと安心です。
8. 非常用発電機の点検や負荷試験は消防法に則って正しく実施する — まとめ
ここまで、非常用発電機の負荷試験について解説してきました。非常用発電機の点検、負荷試験に関するポイントをおさらいします。
地震などの災害時に停電となり同時に火災が発生した際に非常用発電機が正常に動作するよう、消防法で半年に1回の機器点検と1年に1回の総合点検を定めています。さらに、総合点検では、実際に非常用発電機に負荷をかけて点検する負荷試験が義務づけられています。
負荷試験には実負荷試験と疑似負荷試験の2種類がありますが、いずれも困難な場合には非常用発電機の部品を取り外し、各箇所を詳細に点検する内部観察という代案の点検方法があります。
点検や報告を怠ると罰則があり、非常時に動作しない可能性もあるため、点検や負荷試験は消防法に則って正しく行われているかを把握しましょう。
この記事のポイント
・負荷試験は、年1回の総合点検で「定格出力30%以上の負荷運転」または「内部観察」として実施する
・予防的な保全策を毎年実施すれば、負荷試験は最長6年に1回へ延長できる。ガスタービンは負荷運転不要
・営業を止められない施設は、停電不要の疑似負荷試験が現実的な選択肢
・報告しない・虚偽報告は30万円以下の罰金または拘留。法人にも罰金刑の可能性がある
ご不明な点等があれば、お気軽にお問い合わせください。
9. よくある質問
Q非常用発電機の負荷試験は毎年必要ですか?
A原則として年1回の総合点検で、負荷試験または内部観察を実施します。ただし、予防的な保全策を毎年実施して記録している場合は、負荷試験の周期を最長6年に1回まで延長できます。延長しても、6カ月ごとの機器点検と年1回の総合点検は必要です。
Q負荷試験が免除されるのはどんな場合ですか?
A内部観察を実施した場合はその年の負荷試験が不要になり、原動機がガスタービンの発電機は負荷運転自体が不要です。また、予防的な保全策の実施で周期を延長できます。いずれも負荷試験以外の点検・報告義務は残ります。
Q負荷試験の義務はいつからですか?
A負荷運転による確認は、以前から消防法の点検基準で総合点検の項目とされてきました。2018年(平成30年)6月1日施行の点検基準改正で、内部観察による代替、予防的な保全策による周期延長、ガスタービンの負荷運転不要などが整理されました。詳しい沿革は関連記事で解説しています。
Q負荷試験のために建物を停電させる必要はありますか?
A実負荷試験では電源の切り替えが必要ですが、疑似負荷試験であれば停電は不要です。病院・ホテル・老人ホームなど営業を止められない施設でも、営業時間中に実施できます。
Q負荷試験にかかる時間と費用の目安は?
A疑似負荷試験の作業時間は2〜3時間程度が目安です。費用は発電容量45〜120kVAクラスで1回あたり9万〜13万円(税別)程度ですが、発電容量や設置場所によって変わるため、見積りで確認してください。
Q負荷試験の結果はどこに、どうやって報告しますか?
A負荷試験は消防設備の総合点検の一部のため、結果を点検票に記載し、消防用設備等点検結果報告書とともに所轄の消防署へ提出します。報告周期は特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です。
非常用発電機の負荷試験は、停電不要の疑似負荷試験に対応するテックビルケアへ
「前回いつ負荷試験をしたかわからない」「消防署から負荷運転を指摘された」「今の業者の見積りが高い」といったご相談を多くいただいています。テックビルケアでは、消防設備士などの国家資格を持つ自社社員が、低圧・高圧どちらの非常用発電機にも対応し、消防署へ提出する報告までサポートします。消防設備点検とあわせたご依頼も可能です。
無料相談・お見積りはこちら