消防点検(消防用設備等点検)と報告義務とは?
法定点検の項目や罰則について解説
結論から言うと、消防用設備の設置が義務づけられている建物は、消防法第17条の3の3により「点検」と「消防署への報告」の両方が義務です。
点検は6か月ごとの機器点検と1年ごとの総合点検で、年2回おこないます。
報告は、特定防火対象物(店舗・病院など)が1年に1回、それ以外(事務所・マンションなど)が3年に1回です。
点検や報告を怠ると、30万円以下の罰金または拘留の対象になります。
消防用設備は、消防法で点検や報告が義務づけられています。火災時に正常な働きができるよう、日頃からの点検が不可欠だからです。消防用設備の点検や報告に関する義務、怠った場合の罰則などについて詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
消防用設備は、火災が発生した際に被害の拡大を防ぎ、人命や財産を守るために重要な役割を果たします。
日本では、この消防用設備が火災時に適正に稼働するように、定期的な点検・報告を義務づけています。
この記事では、消防法で点検や報告を義務づけている対象の建物や点検内容や報告の回数、点検や報告を怠った場合の罰則について解説します。
あわせて、消火器の点検ルール、点検が不要になるケース、点検日に不在だった場合の対応、よくある質問も整理しました。
この記事を読んで、消防用設備の点検・報告や罰則などに関する認識を深めましょう。
執筆は松岡 星志郎(株式会社テックビルケア)です。テックビルケアは大阪・東京の2拠点で40年以上、消防設備点検を手がけています。
1. 消防用設備等の点検と報告の義務について — 根拠は消防法第17条の3の3
消防点検の義務は「点検する義務」と「結果を消防署へ報告する義務」の2つがセットです。
どちらか一方だけでは、法律上の義務を果たしたことになりません。
消防法17条の3の3により、消防設備の設置が義務づけられている防火対象物の所有者・管理者・占有者は、消防設備を定期的に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告することが義務づけられています。
ここでは、消防設備の具体的な内容や、点検や報告が消防法により義務づけられている理由について説明します。
消防法第17条の3の3のポイント
・義務を負うのは、防火対象物の「関係者」(所有者・管理者・占有者)です。
・消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告します。
・一定の規模・構造の建物では、消防設備士または消防設備点検資格者に点検させる必要があります。
・点検の期間や報告の頻度は、消防法施行規則と消防庁告示で定められています。
消防用設備等とは?何が点検対象になる?
消防用設備等とは、消火器・自動火災報知設備・誘導灯など、建物に設置が義務づけられた防災設備の総称です。
消防用設備等とは、消防法で規定されている「火災を知らせる」「消火をおこなう」「避難を支援する」設備の総称のことで、すべてが点検の対象となっています。
消火・警報・避難の目的ごとに3つに大別され、それぞれ機能によって分類されています。
- 消火設備:消火器、屋内消火栓、スプリンクラーなど
- 警報設備:自動火災報知機、非常ベルや放送設備などを含む非常警報設備など
- 避難設備:避難はしごや救助袋などを含む避難器具、誘導灯や誘導標識など
他にも、防火水槽などの消防用水や排煙設備など、消火活動上必要な施設が消防用設備に含まれます。
参考:総務省消防庁「消防用設備等の種類」
どの設備の設置が必要かは、建物の用途・延べ面積・階数・収容人員によって決まります。
同じ「事務所ビル」でも、規模が違えば必要な設備と点検範囲は変わります。
消防用設備等の点検が消防法により義務づけられている理由
消防用設備点検が消防法で義務づけられている理由は、いざというときに確実に作動し適正に機能が発揮できるかどうかを日頃から確認しておく必要があるからです。
設備自体は平時に使うことがないため、定期的にチェックをおこなわないと使用する際に問題なく稼働できるかどうか分かりません。
火災が実際に発生したときに、設備が適正に稼働しないと大惨事につながる可能性があります。
過去には、点検が必要であったにもかかわらず実施されていなかった施設で、多くの被害者が出る火災が発生した事例があります。
現場でも、点検で初めて「消火器の圧力不足」「感知器の故障」「誘導灯のバッテリー切れ」が見つかることは珍しくありません。
どれも、ふだんの生活では気づきにくい不具合です。
なお、消防用設備等の点検は、消防署がおこなう立入検査(いわゆる消防査察)とは別の制度です。違いは「消防点検」と「消防査察」は同じだと思っていませんか?その勘違いが招くリスクで解説しています。
2. 消防用設備等の点検および報告に関する義務の内容について — 対象建物と点検・報告の頻度
点検は全対象建物で年2回、報告は特定防火対象物が1年に1回・非特定防火対象物が3年に1回です。
点検の回数と報告の回数は別物なので、混同しないよう注意してください。
ここでは、点検・報告が義務づけられている内容について解説します。
- 消防用設備等点検が義務づけられている建物
- 義務づけられている消防用設備等点検と報告のスパン
それぞれ具体的に説明します。
消防用設備等の点検が義務づけられている建物
点検・報告の義務そのものは、消防用設備等の設置が義務づけられたすべての建物にあります。
そのうえで、次の条件にあてはまる建物は、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必要です。
消防法では、以下の条件に該当する建物を対象としています。
- 延べ床面積1,000平米以上の特定用途防火対象物
- 延べ床面積1,000平米以上の非特定用途防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの
- 特定用途の部分が地階または3階以上にあり、地上に直通する屋内階段が1つしかないもの(特定一階段等防火対象物)
| 点検が必要な対象となる建物 | 建物の概要 |
|---|---|
| 延べ面積1,000平米以上の特定用途防火対象物 | ・不特定多数の人が出入りする建物、または火災などの災害時に円滑な避難が困難と想定される施設のことを指す ・具体的には、ホテルや百貨店、病院や社会福祉施設など |
| 延べ床面積1,000平米以上の非特定用途防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの | ・火災などの災害時に避難が比較的容易である建物が対象で、工場、事務所、マンションなどの共同住宅、学校や図書館、美術館が該当 ・これらは特定用途防火対象物ではないが、それぞれの地区の消防長や消防署長が必要であると判断した場合に消防用設備等の点検が義務づけられる |
| 特定一階段等防火対象物(延べ面積を問わない) | ・特定用途の部分が地階または3階以上にあり、屋内に直通階段が1つしか設置されていない場合には、延べ面積が1,000平米未満でも有資格者による点検が必要 ・避難経路が1カ所しか存在しないため災害時の避難の際に危険が伴うと懸念されるため |
| 全域放出方式の二酸化炭素消火設備がある建物(2023年4月〜) | ・二酸化炭素を放射する全域放出方式の不活性ガス消火設備が設置されている場合は、建物の規模にかかわらず有資格者による点検が必要 |
上記にあてはまらない建物でも、点検と報告の義務はなくなりません。
防火管理者などの関係者が自ら点検し、結果を報告することは認められています。
義務づけられている消防用設備等点検と報告のスパン
点検には大きく分けて「機器点検」と「総合点検」の2種類があります。
| 点検の種類 | 点検の内容 | 点検のスパン |
|---|---|---|
| 機器点検 | 外観の目視での確認、設置する場所の確認など、簡単な操作によるチェック | 半年に1回必要(1年に2回) |
| 総合点検 | 設備を実際に作動させて総合的な機能をチェック | 1年に1回必要 |
半年に1回の機器点検と合わせて、1年に2回点検が必要です。
点検を実施し、報告をおこなわなければならない回数は、特定防火対象物が「1年に1回」、非特定防火対象物の場合は「3年に1回」です。
建物の用途や規模、構造などの条件により、定期的に点検の報告を提出しなければなりません。
ここ注意しておくべき点は、特定用途防火対象物の報告が年に1度、非特定用途防火対象物の報告が3年に1度となっていても、設備の点検は年に2度(機器点検は6カ月に1度、総合点検は1年に1度)おこなう必要があることです。
たとえば、3年に1度の報告が必要な非特定用途防火対象物の消防用設備に関して、保守管理者が勘違いして、報告の頻度と同様に点検も3年に1度しか実施しない場合には、明らかに違反となるので注意しましょう。
| 区分 | 主な用途の例 | 点検 | 消防署への報告 |
|---|---|---|---|
| 特定防火対象物 | 店舗、飲食店、ホテル、病院、福祉施設、複合用途ビル(特定用途を含む)など | 年2回(機器点検+総合点検) | 1年に1回 |
| 非特定防火対象物 | 事務所、マンション(共同住宅)、工場、倉庫、学校など | 年2回(機器点検+総合点検) | 3年に1回 |
報告は、所轄の消防署に点検結果報告書を提出しておこないます。
法令で「○月まで」という提出期限は決まっていません。前回の報告から1年以内(非特定は3年以内)に次の報告をするのが基本です。
点検の時期や年2回必要な理由は、消防設備点検の頻度は年何回?対象となる建物や消防署への届出について解説!や消防設備点検が年2回必要な根拠とは?点検項目や業者を選ぶポイントも解説!でも詳しく紹介しています。
消防点検が不要な建物・任意になるケースはある?
消防用設備等の設置義務がない建物には、消防法上の点検・報告義務はありません。
代表例は、一般的な戸建て住宅です。
戸建て住宅にも住宅用火災警報器の設置義務はありますが、消防署への点検報告は求められていません。
ただし、作動確認と10年程度を目安にした交換は、住む人が自主的におこなう必要があります。
一方で、「小さいビルだから」「テナントが少ないから」という理由で点検が不要になることはありません。
延べ面積が小さくても、消火器や自動火災報知設備などの設置が必要な建物であれば、点検と報告の義務があります。
「うちは対象外」と思い込む前に確認を
用途変更でテナントに飲食店が入ると、建物が特定防火対象物に変わり、報告頻度が3年に1回から1年に1回になることがあります。
必要な設備と報告頻度は、所轄の消防署か点検業者に確認するのが確実です。
3. 消防用設備等の点検は誰でもできる? — 資格が必要な建物と自主点検できる建物
一定規模以上の建物では、消防設備士または消防設備点検資格者しか点検できません。
それ以外の建物は関係者が自ら点検できますが、不具合の整備や改修には資格が必要です。
法律で定められている対象の建物(※)に設置されている自動火災報知機、やスプリンクラーなどの消防用設備等の点検は、消防設備士や消防設備点検資格者などの専門的な資格をもったものでなければおこなうことはできません。
※法律で定められている対象の建物
- 延べ床面積1,000平米以上の特定用途防火対象物
- 延べ床面積1,000平米以上の非特定用途防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの
- 特定用途の部分が地階または3階以上にあり、地上に直通する屋内階段が1つしかないもの(特定一階段等防火対象物)
該当しない場合には、資格がない人でも点検をおこなえますが、異常があった場合の改修や整備に関しては資格がないとできません。
また、消防用設備は技術的に特殊なものが多く、専門的な知識や技術がない人がおこなった場合、不具合に気づかず整備不良を見過ごしてしまうなどのリスクも考えられます。
従って、消防設備士や消防設備点検資格者などの資格者がおこなうことが推奨されています。
| 資格 | できること | 主な対象設備 |
|---|---|---|
| 消防設備士(甲種) | 工事・整備・点検 | 類ごとに指定(屋内消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備など) |
| 消防設備士(乙種) | 整備・点検 | 類ごとに指定(消火器、避難器具なども含む) |
| 消防設備点検資格者 | 点検のみ | 第1種:消火器・消火栓など/第2種:自動火災報知設備・誘導灯など |
自主点検をする場合も、点検票の様式に沿って記録し、報告書として提出する必要があります。
点検の結果、不具合が見つかったときは、資格を持つ業者に改修を依頼してください。
4. 消防用設備等の点検項目 — 設備ごとのチェック内容と消火器の点検ルール
点検では、設備が「正しい場所にあるか」「壊れていないか」「実際に作動するか」を設備ごとに確認します。
点検項目は、消防庁告示で定められた点検要領と点検票の様式に沿って進めます。
点検が必要な項目について解説します。
必要な対象項目は大きく分けて下記の2種類です。
- 消防設備等の点検対象と内容
- 防火対象物の点検対象と内容
順に説明します。
消防設備等の点検対象と内容
点検対象については、以下の4点が該当します。
| 点検の対象となる設備 | 名称 | 点検内容 |
|---|---|---|
| 消火設備 | 消火器・屋内消火栓設備・スプリンクラー設備など | 非常時にきちんと作動するかどうか、交換の必要性がないかを確認 |
| 警報設備 | 自動火災報知機・ガス漏れ警報器・漏電火災警報器など | 警報設備が正常に鳴動するかどうかの確認 |
| 消防用水 | ビルや工場に設置してある防火水槽、防火水槽がないときは、ため池や貯水池などを利用 | 火災の初期消火用の水や、消防隊員による消火活動の際の水源が確保されているかの確認 |
| 消火活動上必要な施設 | 消防車を使用するための連結散水設備・連結送水管・排煙設備・無線通信補助設備など | それぞれの設備が、消防隊員が消火活動をおこなう際に問題なく作動するかどうかの点検 |
点検の流れや、機器点検と総合点検で何が違うのかは消防設備点検|機器点検と総合点検の違い頻度・項目・罰則をプロが解説【2026年版】で詳しく解説しています。
防火対象物の点検対象と内容
避難設備も、消防用設備等のひとつとして年2回の点検対象です。
防火対象物には以下の設備が該当します。
| 対象となる設備 | 設備の名称 | 点検内容 |
|---|---|---|
| 避難設備 | 避難はしご・避難袋・緩降機などの避難器具、出入り口を灯す誘導灯や誘導標識 | 避難設備を保管している周りに遮蔽物がないかどうか、有事の際に問題なく使用できる状態かどうかを確認 |
マンションでは、ベランダの避難ハッチの上に植木鉢や物置が置かれ、ふたが開かない状態をよく見かけます。
点検で指摘されたら、入居者に声をかけて早めに片づけてもらいましょう。
なお、「防火対象物点検」は、防火管理の体制などを確認する別の制度です。消防用設備等の点検とは対象・資格・報告先の扱いが異なります。違いは消防設備点検と防火対象物点検の違いとは?対象や内容・罰則を徹底比較をご覧ください。
消火器の点検義務と点検内容 — 半年ごとの外観点検と製造5年目からの機能点検
消火器も消防用設備等のひとつで、6か月ごとの点検と、製造から一定年数がたった消火器の機能点検が義務です。
多くの建物で設置されている設備なので、点検の基本を押さえておきましょう。
| 点検の種類 | 時期の目安 | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| 外観点検 | 6か月ごと(全数) | 設置場所・標識、本体の腐食や変形、安全栓・ホース、圧力計の指示値 |
| 機能点検(内部・放射) | 蓄圧式は製造から5年、加圧式は製造から3年を過ぎたもの | 本体内部や消火薬剤の状態、放射能力(抜き取りで実施) |
| 耐圧性能点検 | 製造から10年を過ぎたもの(以後3年ごと) | 本体容器の水圧試験。交換するなら試験は不要 |
業務用消火器の設計上の使用期限は、おおむね10年が目安です。
製造から10年が近づいたら、耐圧性能点検を受けるより新品に交換するほうが費用を抑えられる場合が多くあります。
消火器の設置義務は用途ごとに決まっており、多くの用途では延べ面積150平米以上が基準です。
2019年10月からは、火を使う設備のある飲食店は延べ面積に関係なく設置が必要になりました。
古くなった消火器の処分方法は、消火器の正しい廃棄方法と処分費用回収の流れ・注意点をプロが解説で紹介しています。
5. 消防用設備等の点検・報告を怠った場合の罰則について — 30万円以下の罰金または拘留
点検・報告をしない、または虚偽の報告をすると、30万円以下の罰金または拘留の対象です。法人も同じ額の罰金を科されます。
設置命令に従わない場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人には3,000万円以下の罰金と、さらに重くなります。
点検や報告を怠った場合の罰則について、曖昧な方は多いです。
罰則があること自体は理解しているものの、どのような場合に対象となるのか、また、どの程度の罰則を受けるのかしっかり理解している方は少ないでしょう。
点検自体の重要性は前述したとおりですが、怠った場合の罰則を理解しておくことも重要です。
消防用設備等点検に関して罰則の対象となりやすいケース
まずは、罰則の対象となりやすいケースをご紹介します。
- 定められた期間に点検をしない
- 虚偽の報告をする
- 設置命令違反
| 罰則の対象となりやすいケース | 具体例 |
|---|---|
| 定められた期間に点検をしない | 半年に1度の機器点検、1年に1度の総合点検をおこなわないなど 「非特定防火対象物だから点検は必要ないと思い込んでいた」「いくつかのフロアーで点検したが全階でおこなわなかった」「一部の設備しかおこなわなかった」 |
| 虚偽の報告をする | 報告のスパンが3年に1度である非特定防火対象物の場合、3年に1度だけ点検し、その他の期間の点検結果が問題無しと偽りの報告をするケース |
| 設置命令違反 | 消防署から指摘があった指導に従わないケース(規定されている消火器の本数を満たしていない場合や、使用期限が過ぎているのに放置している場合など) |
消防用設備等点検に違反した場合の罰則
次に違反した場合の罰則について解説します。
- 点検報告義務違反に対する罰則
- 維持管理義務違反に対する罰則
- 設置命令違反に対する罰則
| 違反名 | 違反内容 | 消防法で定めている罰則 | 対象となる消防法 |
|---|---|---|---|
| 点検報告義務違反 | 点検結果の報告をせず、または虚偽の報告をした場合 ・点検そのものが未実施・周期を守っていない・報告書に偽りがある・点検結果を周期に沿って報告しないなど | 30万円以下の罰金または拘留(法人に対しても同様の罰金) | 消防法第17条の3の3(義務)/第44条第11号(罰則) |
| 維持管理義務違反 | 消防設備の適正な維持のために必要な措置命令に従わなかった場合 ・老朽化している消火器を放置・誘導灯の電池切れ・電気故障などがある自動火災報知設備を修理せず使い続けるなど | 30万円以下の罰金または拘留(法人に対しても同様の罰金) | 消防法第17条の4(命令)/第44条第12号(罰則) |
| 設置命令違反 | 消防設備の設置命令に対して設置しなかった場合 ・消火器などの設備を設置しない・火災予防や消防活動の妨げになるものを放置した場合など | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人は3,000万円以下の罰金) | 消防法第17条の4(命令)/第41条(罰則) |
2025年6月の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に変わっています。
罰則は、命令に従わないなど悪質な場合に適用されるのが一般的です。ただし、立入検査で指摘されたまま放置すると、命令や公表につながります。
消防用設備等点検の罰則は強化された
2001年9月に発生した新宿歌舞伎町ビルで発生した火災により、2002年消防法の改正がおこなわれました。違反に対する罰則が強化され、罰金の上限が1億円になりました。
違反に対する罰則が個人だけでなく法人も対象となり、防火対象物のオーナーや管理権原者である建物の事業主には、違反した際の罰金が最高で1億円になる可能性があります。
たとえば、消防法第5条で規定されている「防火対象物に対する措置命令(改修・移転・除去・使用禁止・停止・制限等)」に従わなかった場合は適用される可能性があるため、これまで以上に点検に対する重要性を認識する必要があります。
消防点検をしないとどうなる?実際の流れ
多くの場合、いきなり罰金になるわけではありません。
まず、消防署の立入検査で未実施・未報告を指摘され、改善を求める書面が届きます。
それでも改善しないと、警告や命令に進み、命令に従わなければ罰則の対象になります。
また、多くの消防本部では、重大な違反がある建物の名称や違反内容をホームページで公表する「違反対象物公表制度」を設けています。
火災で死傷者が出た場合は、点検を怠っていたことが管理責任を問われる大きな材料になります。
罰則の実態や是正の進め方は消防設備点検を怠るとどうなる?罰則の実態と管理者が今すぐ取るべき是正対応、点検で不備が見つかったときの対応は消防点検で不備が見つかったら?改修工事が必要な理由と進め方を解説で詳しく解説しています。
6. 消防用設備等点検の実施義務や費用を負うのは誰? — 管理権原者と入居者の役割
点検・報告の義務を負うのは、建物の所有者・管理者・占有者などの「関係者」です。費用の負担は、賃貸契約や管理規約で決めるのが一般的です。
テナントビルやマンションのような建物に関して「点検の義務や費用の負担を負うのは建物の所有者なのか、入居者なのか?」といった質問をよく耳にします。
ここでは、点検の実施の義務や費用負担をするのは誰なのかについて解説します。
消防用設備等点検の実施や費用負担の義務があるのは「管理権原者」
消防法第17条3の3で定められている消防設備の点検・報告の義務を負うのは防火対象物の「関係者」となっており、少し曖昧に表現されています。
一般的に、点検の実施や費用負担の義務の対象者はこの関係者である「管理権原者」となっています。
管理権原者とは、防火対象物の管理について正当な権限を有する者で、具体的には建物の所有者や事業所の代表者などです。
また、マンションや事務所などのテナントビルの場合は、それぞれの所有者、入居者が管理権原者の対象となります。
費用の負担に関しては、建物の所有者が負担するケース、入居者が負担するケースとさまざまです。
現実には、建物の持ち主や管理会社が費用を出して、入居者が点検に協力するという場合も多々あります。
点検を管理会社経由で頼むか、点検業者に直接頼むかでも費用は変わります。比較のポイントは消防設備点検は直接依頼と管理会社経由、どちらが得?費用・対応範囲を比較してわかった選び方でまとめています。
消防用設備等点検の義務者は賃貸契約時に定めるケースが多い
建物自体の維持や管理については、本来は建物の所有者が責任を負うのが一般的です。
しかし、設備の点検自体は、所有者と賃借人の両方が管理権原者である場合が多く、責任の所在が曖昧なケースも少なくありません。
そのため、賃貸契約の際に点検の義務者を決める場合もあります。
「点検の費用や責任は所有者側がもつので、そのかわり業者が点検に来たらなかに入れてください」という場合もあれば「費用も責任も入居者側が負担してください」というケースもあります。
今現在の契約内容を確認し、曖昧になっているのであれば、トラブルを防止するためにも、事前にルールを決めて契約に盛り込むことをおすすめします。
| 建物の例 | 点検を手配することが多い人 | 費用負担の例 |
|---|---|---|
| 自社ビル・自社工場 | 建物所有者(事業者) | 所有者が全額負担 |
| テナントビル | ビルオーナー・管理会社 | 共用部はオーナー、テナント内の設備はテナント負担とする例もある |
| 分譲マンション | 管理組合(管理会社が手配) | 管理費から支出 |
| 賃貸マンション・アパート | オーナー・管理会社 | オーナー負担が一般的(入居者は点検に協力) |
点検業者の見積書を比べるときは、点検範囲・改修費・報告書の作成代行が含まれているかを確認しましょう。詳しくは消防設備点検の見積書、どこを比較する?点検範囲・改修費・報告対応の見方をご覧ください。
消防用設備等点検は入居者の協力が必要
点検に関しては、責任者や費用負担者を決めるだけでなく、入居者に周知を徹底することも重要です。
業者がテナントやマンションに点検訪問した際、留守のためにできなかったという話しはよく耳にします。
「部外者をなかに入れたくない」「面倒だ」などの理由で居留守を使われたり、点検を拒否されたりすることも少なくありません。
仕方がないと放置すると、機器などの不備に気づかず火災が起こって被害が拡大した場合、管理権原者が責任を問われる場合もあります。
点検の責任者が誰であっても、消防設備の点検は火災時の被害拡大や人命の救助のために必要だという認識をすべての入居者がもつことが重要です。
場合によっては、「不在時でなかに入り点検させてもらう」「点検を拒否したために損害が発生した場合は損害賠償の責任を負ってもらう」などのルール作りが必要な場合もあるでしょう。
入居者に対して、防火の意識をもってもらい協力を仰ぐことも重要です。
消防設備点検の日に不在だった場合はどうする?
不在で点検できなかった住戸や区画は、報告書に「未点検」として記録されます。後日の再訪問で点検を済ませるのが原則です。
点検日は、一般的に1〜2週間前までに掲示板や案内文で入居者に知らされます。
不在が多い建物では、平日と土曜の2日程に分けたり、再訪問日をあらかじめ設けたりすると実施率が上がります。
入居者の方は、案内に記載された連絡先へ都合のよい日時を伝えれば、再訪問の調整が可能です。
マンションでの不在時の対応はマンションの消防設備点検は重要!内容や罰則・不在時の対応方法を解説、点検当日の流れは消防点検は全室に入るの?ベルは鳴らないの?現場でよくある疑問にプロが答えますで紹介しています。
7. 消防用設備等点検の重要性と内容を再認識して「もしものとき」に備えよう! — まとめ
消防用の設備は、日頃まず使うことがないために意識が薄れがちです。
しかしながら、これまでに発生した火災で、決められた点検や報告をおこなわなかったために大きな被害に拡大した事例が少なからずあることも厳然たる事実です。
消防用設備の点検や報告に関して常日頃から重要性を認識して、もしものときに備えましょう。
点検や報告の必要回数や費用、その他気になる点があれば、お気軽にテックビルケアまでご相談ください。
この記事のポイント
・消防用設備等の点検と報告は、消防法第17条の3の3で定められた義務です。
・点検は年2回(機器点検6か月ごと・総合点検1年ごと)、報告は特定防火対象物が1年に1回、非特定防火対象物が3年に1回です。
・延べ1,000平米以上などの建物は、有資格者による点検が必要です。
・消火器は6か月ごとの点検に加え、蓄圧式は製造5年、加圧式は製造3年を過ぎると機能点検が必要です。
・点検・報告を怠ると30万円以下の罰金または拘留。命令違反ではさらに重い罰則があります。
8. よくある質問
Q消防点検は年何回おこなう必要がありますか?
A年2回です。6か月ごとの機器点検と、1年ごとの総合点検をおこないます。消防署への報告は、特定防火対象物が1年に1回、非特定防火対象物が3年に1回です。報告が3年に1回の建物でも、点検は年2回必要です。
Q点検結果報告書はどこに、いつまでに提出しますか?
A建物を管轄する消防署に提出します。法令で決まった提出月はなく、前回の報告から1年以内(非特定防火対象物は3年以内)に次の報告をするのが基本です。提出した報告書の控えは、維持台帳に綴って保管しておきましょう。
Q消防点検は自分でおこなってもよいですか?
A延べ面積1,000平米以上の特定防火対象物など一定の建物では、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必要です。それ以外の建物は関係者が自ら点検できますが、不具合の整備・改修には資格が必要です。見落としを防ぐためにも、専門業者への依頼をおすすめします。
Q病院や工場など、用途によって点検の内容は変わりますか?
A点検の頻度(年2回)は同じですが、設置されている設備が違うため点検項目が変わります。また、病院は特定防火対象物なので報告は1年に1回、工場は非特定防火対象物なので3年に1回です。病院では非常用発電機、工場では屋外消火栓や消火ポンプなどの点検が加わることが多くあります。
Q消防点検をしないとどうなりますか?
A消防署の立入検査で指摘を受け、改善しないと命令や罰則(30万円以下の罰金または拘留など)の対象になります。違反対象物として建物名が公表される場合もあります。何より、火災時に設備が動かず被害が広がるおそれがあります。
Qしばらく点検していなかった場合、今からでも対応できますか?
Aはい、できます。まず現状の点検をおこない、結果を消防署へ報告するところから始めましょう。不具合が見つかれば、改修の優先順位をつけて計画的に進めます。テックビルケアでは、点検・報告書の作成・改修工事まで一括で対応しています。
消防点検と消防署への報告、まとめてお任せください
年2回の点検、報告書の作成・提出、不具合の改修まで、テックビルケアが一括で対応します。「うちの建物は対象?」「しばらく点検していない」というご相談も歓迎です。大阪・東京の2拠点から対応します。
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