地震で外壁が崩落?宇都宮・甲府の事故からわかる外壁調査の重要性

防災コラム・外壁調査

地震で外壁が崩落?
宇都宮・甲府の事故からわかる外壁調査の重要性

公開日:2026年6月29日 カテゴリ:外壁調査・防災 読了時間:約7分

2026年6月下旬、栃木県宇都宮市や山梨県甲府市など各地で、建物外壁の落下事故が相次いで報道されました。背景には、富士五湖周辺を震源とする最大震度6弱の地震もあり、揺れによって外壁の一部が崩れ落ちる事例が複数確認されています。「うちのビルは大丈夫だろうか」と不安に感じたオーナー様・管理会社様も多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜ地震をきっかけに外壁が崩落するのか、その仕組みと法律上の調査義務、そして今すぐ確認できるチェックポイントを解説します。40年以上にわたり建物の点検・調査に携わってきたテックビルケアが、ドローン・赤外線を使った具体的な調査方法まで紹介します。

1. 各地で相次ぐ外壁落下事故 — 何が起きているのか

2026年6月下旬、栃木県宇都宮市のJR宇都宮駅前にある飲食店で外壁材が落下し、通行人2人が負傷する事故が発生しました。同じ時期、山梨県甲府市でも建物の外壁が崩落する事故が報じられています。さらに、富士五湖周辺を震源とする最大震度6弱の地震では、各地で外壁の崩落事例が複数報告されました。青森県八戸市では、別の震度6強の地震の後にビルの外壁が崩落し、行政が「是正命令」を出す方針を示したケースもあります。

これらの事故に共通しているのは、築年数の経った建物の外壁タイルやモルタルが、地震や経年劣化によって下地から剥がれ落ちたという点です。地震がきっかけで一気に崩落するケースもあれば、地震の揺れがそれまで「ぎりぎり持っていた」浮きを最後の一押しとして崩した、というケースもあると考えられます。

注意喚起

「うちは大丈夫」と思っている建物ほど危ない

外壁の浮きや剥落は、見た目では分かりにくいのが特徴です。表面のタイルがきれいに見えても、内部のモルタルとの間に隙間ができている「浮き」の状態であれば、強い揺れや経年劣化で一気に崩落するリスクがあります。地震があった・なかったに関わらず、竣工や外壁改修から年数が経った建物は注意が必要です。

2. なぜ地震で外壁は崩れ落ちるのか — タイル・モルタルの「浮き」

鉄筋コンクリート造の建物は、年数が経つと外壁のタイルやモルタルが下地から少しずつ剥がれてきます。これが「浮き」と呼ばれる状態です。原因は、雨水の浸入による下地の劣化、温度変化による膨張・収縮の繰り返し、施工時の接着不良など複数考えられます。

浮きが生じている部分は、見た目では健全な部分とほとんど区別がつきません。普段はタイルが下地に張り付いた状態を保っていても、地震の揺れが加わることで接着が一気に失われ、剥落につながることがあります。特に高層階のタイルが落下すると、地上にいる人や車に当たる危険性が高く、被害は重大なものになりやすいというのが外壁事故の怖さです。

外壁タイルの表面にひび割れ(クラック)が広がっている様子のクローズアップ写真
タイル表面や目地にひび割れが広がっている状態。内部で浮きが進行しているサインの一つ
ひとことメモ

「打診」と「打音」で分かること

外壁を専用の道具(打診棒)で軽く叩くと、健全な部分は「コンコン」と硬い音がしますが、浮いている部分は「カラカラ」「ボコボコ」という濁った音になります。長年の調査で培われたこの判定方法は、今も外壁調査の基本として使われています。

3. 法律で定められた外壁調査の義務 — 建築基準法12条点検

外壁の落下は人命に関わる事故につながるため、一定規模以上の建物には建築基準法第12条に基づく定期報告の制度が設けられています。特定行政庁から指定を受けた建物は、外壁を含む建物の状態を定期的に調査し、行政に報告する義務があります。

外壁については、竣工後または外壁改修後10年を超えると、原則として全面打診調査が必要とされています。10年を超えても全面調査を行わずに放置すると、行政指導や是正命令の対象となるおそれがあります。冒頭で触れた八戸市の事例のように、地震後に崩落が発生し、それを受けて行政が是正命令の方針を示すケースもあり、調査を怠った場合のリスクは決して小さくありません。

  • 対象となるかどうかは建物の用途・規模・所在する自治体によって異なります
  • 調査の周期は概ね3年に1回の報告が基本ですが、外壁の全面調査は前回から10年が一つの目安です
  • 調査結果は所定の様式で特定行政庁に提出する必要があります
よくある誤解

「うちは賃貸ビルだから関係ない」「築浅だから大丈夫」と思われがちですが、対象となる用途・規模に当てはまれば、所有形態や築年数に関わらず調査・報告の義務があります。一度、自分の建物が対象に当たるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

4. 自分の建物は大丈夫か — 危険のサインとセルフチェック

専門的な調査の前に、まずは目視でできる確認も大切です。地震の後はもちろん、日頃から次のようなサインがないか意識しておくと、早期発見につながります。

1

タイルの色や音の変化

一部のタイルだけ色やツヤが違う、雨の後だけシミが出る部分がある場合は、内部に水が入り込んでいる可能性があります。

2

目地のひび割れ

タイルとタイルの間の目地に細いひび割れが広がっている場合、下地との接着が弱くなっているサインです。

3

窓周りや出隅部分のずれ

窓のサッシ周りや建物の角(出隅)は構造的に力が集中しやすく、タイルのずれ・浮きが出やすい場所です。

4

地震・台風の直後

強い揺れや風雨を受けた後は、それまで持っていた浮きが進行している可能性があります。早めの目視確認をおすすめします。

こうしたサインは、あくまで「気づくきっかけ」に過ぎません。最終的に浮きの有無を正確に判断するには、打診や赤外線による専門的な調査が必要です。気になる点が一つでもあれば、早めに専門業者に相談することをおすすめします。

5. 足場を組まずに調べる — ドローン・赤外線調査という選択肢

外壁の全面調査と聞くと、「足場を組む大掛かりな工事」を想像される方も多いかもしれません。実際、従来の打診調査は、高い場所を調べるために足場やゴンドラが必要で、建物の規模によっては数百万円の費用と数週間の工期がかかることもあります。

そこでテックビルケアでは、ドローンや地上設置型の赤外線カメラを使った外壁調査をご提案しています。カメラで壁の表面温度を撮影し、浮いている部分とくっついている部分のわずかな温度差から異常を見つける方法です。足場を組まずに、地上やドローンから広い範囲を一気に調べられるため、調査期間・費用ともに大きく抑えられます。地震の発生直後など「できるだけ早く全体を確認したい」という場面でも、足場の手配を待たずに調査に入れるのが大きな利点です。

作業着姿の点検員が打診棒を使って外壁タイルの浮きを調査している様子
地上から打診棒を使って外壁タイルの浮きを確認する様子
調査方法特徴足場の必要性
直接打診調査打診棒で叩いて音から浮きを判定。手が届く高さは精度が高い必要(高所の場合)
ロープアクセス工法ロープで懸垂しながら高所を打診。足場よりコストは抑えられる不要(ただし高所作業)
赤外線調査(地上・ドローン)表面温度の差から浮きを判定。広範囲を短時間で確認できる不要
テックビルケアの強み

大阪本社・東京支社の2拠点体制で、ドローン外壁調査から消防設備点検、非常用発電機の負荷試験、特定建築物定期調査まで、建物の防災インフラをワンストップで対応しています。40年以上の実績を活かし、調査から行政への報告書作成までサポートします。

6. 外壁調査の流れと費用相場

初めて外壁調査を依頼する場合の一般的な流れをご紹介します。

1

現地確認・お見積り

建物の規模・形状・前回調査の有無を確認し、打診とドローン・赤外線のどちらが適しているかご提案します。

2

調査の実施

晴天時の日射条件を見ながら撮影・打診を行い、浮き・ひび割れの箇所を一つひとつ記録します。

3

報告書の作成

浮き・ひび割れの位置を図面に落とし込み、行政提出にも使える報告書として整理します。

4

結果のご説明・補修のご提案

調査結果をご説明し、必要に応じて補修工事や次回調査の周期についてもご提案します。

費用は建物の規模・形状・調査方法によって大きく変わりますが、足場を組む全面打診調査では数百万円規模になることも珍しくない一方、赤外線・ドローンを活用した調査では足場費用がかからない分、コストを抑えられる傾向があります。まずは建物の状況をお伺いした上で、お見積りをご提示しています。

外壁の状態が気になったら、まずはご相談ください

地震や台風の後はもちろん、竣工・改修から10年以上経過した建物は、外壁調査の時期に来ている可能性があります。テックビルケアでは、ドローン・赤外線調査から行政提出用の報告書作成まで一括でサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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株式会社テックビルケア

大阪府摂津市・東京都品川区を拠点に、消防設備点検・ドローン外壁調査・非常用発電機負荷試験・特定建築物定期調査・ホームインスペクションを手がける防災インフラの専門会社。40年以上の実績で、ビルオーナー様・管理会社様の建物管理をワンストップで支えています。

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