福祉施設の非常用発電機の負荷試験とは?怠った場合のリスクも

地震や火災などの災害時、福祉施設では利用者の命を守るために、停電しても必要な機器を稼働させる非常用発電機が欠かせません。特に高齢者や障がいのある方が多く利用する施設では、発電機が担う役割は非常に重要です。しかし、非常用発電機は定期的な負荷試験を行わなければ、いざというときに作動しないリスクもあります。この記事では、福祉施設における非常用発電機の負荷試験の必要性や実施方法、業者選びのポイントなどを解説します。

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目次

福祉施設は非常用発電機の負荷試験が、義務付けられている!

非常用負荷試験とは?

負荷試験が必要な福祉施設

福祉施設の非常用発電機の負荷試験が必要な理由

負荷試験を怠った場合の罰則

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の種類

1.実負荷試験

2.疑似負荷試験

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の実施周期

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の実施者は?

消防設備士

消防設備点検資格者

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の費用相場

福祉施設の非常用発電機の負荷試験業者を選ぶポイント

多様な建物の実績が豊富かで選ぶ

有資格者が在籍しているかで選ぶ

不具合の改修や整備も依頼できる業者がおすすめ

作業を外注依頼していないかで選ぶ

福祉施設の非常用発電機の負荷試験を実施する流れ

見積もり依頼、業者の選定を行う

負荷試験の申し込みを行う

工事~報告書の作成をしてもらう

不具合が見つかった場合は改修を行う

報告書を消防署へ届け出る

まとめ

福祉施設は非常用発電機の負荷試験が、義務付けられている!

福祉施設をはじめとする一定規模(延べ床面積1,000㎡以上)の建物は、消防法において「特定防火対象物」に指定されており、非常用発電機の設置とともに、その機能が災害時に確実に発揮されることが求められています。2018年の消防法改正以降、非常用発電機には「実負荷または疑似負荷による定期的な負荷試験」の実施が義務付けられました。福祉施設も例外ではなく、利用者の安全を確保するため計画的な点検と負荷試験の実施が欠かせません。

非常用負荷試験とは?

非常用発電機の「負荷試験」とは、実際に電気負荷をかけて運転し、発電機が正常に作動するかどうかを確認する試験です。点検だけでは把握できない発電能力や発電時の安定性、燃料供給・冷却機能などを総合的に確認できるのが特徴です。
非常用発電機は、平常時には使われることがほとんどなく、長期間稼働していないことも珍しくありません。そのため、内部の部品が劣化していたり、燃料が劣化していたりする可能性もあり、定期的な負荷試験によってトラブルを未然に防ぐことが重要です。

負荷試験が必要な福祉施設

以下のような福祉施設では、非常用発電機の設置と負荷試験の実施が必要です。

  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • 児童家庭支援センター
  • 障がい者支援施設(入所型)
  • 児童福祉施設(母子生活支援施設・児童厚生施設を除く)
  • 障害福祉サービス事業
  • 地域活動支援センター

これらの施設は、消防法施行令で特定防火対象物と指定されています。災害時にも継続的なケアが求められるため、電力供給の確保が特に重要です。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験が必要な理由

福祉施設には、日常的に介助が必要な高齢者や障がいのある方が多く入所しています。そのため、災害時に停電が発生しても、スプリンクラー、エレベーター、ナースコール、医療機器などを稼働させる電力供給の継続が欠かせません。非常用発電機は、このような非常時に生命を守るともいえる設備ですが、定期的に点検・試験を行っていないと、実際の災害時に作動しないという重大なリスクを抱える可能性があります。
負荷試験を行うことで、発電機が実際に電気を供給できる状態であるか、燃料や冷却システムが正常に機能しているかなど、通常の目視点検ではわからない問題点を発見できます。入居者の命を預かる施設として、非常時に確実に動く状態を維持するためにも負荷試験は欠かせないのです。

負荷試験を怠った場合の罰則

非常用発電機の負荷試験を怠ると、消防法第44条11号に基づき、管轄の消防署から是正指導を受ける可能性があります。改善指導に従わない場合、最終的には30万円以下の罰金や拘留などの行政処分を受けることもあります。
負荷試験の点検や整備を怠ることや、記録の未提出・虚偽の報告をすることは法的リスクだけではなく、実際の災害時に発電機が作動せず入所者の生命に関わる重大事故へとつながる可能性もあります。
信頼性の高い福祉施設を運営するためにも、定期的な負荷試験の実施は法令遵守だけでなく、施設の社会的責任を果たすうえでも重要です。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の種類

非常用発電機の負荷試験には、大きく分けて「実負荷試験」と「疑似負荷試験」の2種類があります。それぞれ試験の方法や目的に違いがあり、どちらを選ぶかによって設備への影響も異なります。
両者のメリット・デメリットを簡単にまとめました。

 実負荷試験疑似負荷試験
試験方法実際の施設負荷を使用して発電する擬似的な電気負荷を機器で発生させて試験
施設への影響試験中に施設の一部電源を切り替える場合あり施設の電源系統には影響を与えない
試験時間長くなることが多い比較的短時間で完了
おすすめ度実情に即しており理想的だが負担が大きい福祉施設では現実的でおすすめ

ここからは、それぞれの試験の特徴をくわしく解説します。

1.実負荷試験

実負荷試験とは、実際にスプリンクラーポンプを作動して非常用発電機を稼働させ、非常時に近い状況で発電性能を確認する試験です。実際の使用環境下での運転が行えるため、機器の異常や不具合が発見しやすいのがメリットです。また、非常時に稼働が必要な設備もまとめて点検できます。
デメリットとしては、実際の配電盤を切り替える必要があることです。試験中に一部の設備が停止する可能性も考えて、利用者の安全確保や業務の継続に配慮しながら慎重に進める必要があり、福祉施設にとっては負担となることも考えられます。また、試験時間が長くなる傾向のため、関係者の立ち合いやスケジュール調整も必要です。

2.疑似負荷試験

疑似負荷試験は、専用の負荷装置を使用して人工的に電気負荷を作り出し、その負荷を非常用発電機にかけて稼働状況を確認する試験です。施設の電気系統に直接影響を与えることがないため、福祉施設など日常業務を止められない現場でも安心して実施できる点が大きなメリットです。また、短時間で実施可能であり、少ない人員で点検が可能なため、入所者への負担も最小限に抑えられます。消防庁が推奨する定格出力の30%の負荷を安定してかけられることで、発電機の性能を最大限に引き出せる点もメリットです。
福祉施設への影響を避けながら必要な確認ができるという点で、現実的かつおすすめの方法です。疑似負荷試験は、消防法でも認められており、福祉施設でも選択肢となりつつあります。また、実負荷試験と比べて費用面でも比較的リーズナブルな点が評価されています。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の実施周期

非常用発電機の設置および負荷試験は、消防法に基づき決められています。実施周期については、消防法施行規則等の改正前は1年に1回必要でしたが、平成30年6月の改正後では予防的な保全策が講じられている場合に限り、6年に1回の実施が認められています。
具体的な予防的保全策は、予熱栓・点検栓・冷却水ヒーター・潤滑油プライミングポンプなど経年劣化しやすい消耗品において、メーカーが定める期間内の交換整備の実施と整備記録を残すことです。
ただし高齢者施設などでは、災害時に入居者の避難が困難であることから、万全な備えとして自主的に短いサイクルでの試験を行うことも検討しましょう。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の実施者は?

非常用発電機の負荷試験は、専門知識と資格を持つ技術者が行う必要があり、多くの場合、外部の専門業者に依頼するのが一般的です。試験の種類や内容に応じて、以下のような国家資格を持つ人材が関わるケースが多くあります。

消防設備士

「消防設備士」は、消防法に基づき定められた国家資格で、乙種と甲種の2種類があり非常用発電機を含む各種消防用設備の設置・点検・整備を行えます。特に甲種第1類の資格を有する技術者は、発電機や配電盤など電気設備を含む複雑な構造の設備に対応可能です。
この資格を持つ業者であれば、点検だけでなく、万が一の不具合にも対応できる専門性を持っているため、安心して依頼できるでしょう。

消防設備点検資格者

「消防設備点検資格者」は、建物に設置されている消防用設備の点検業務を担うための資格で、第1種・第2種の区分があります。非常用発電機のような機械的設備の点検は第1種が対応し、より高い専門性が求められます。実務経験に応じて受験資格が設けられており、継続的な研修も義務付けられているため、専門性の維持も図られています。
この資格は、点検結果を消防署に提出する報告書の作成も含めて対応できるため、実務上非常に重要です。資格の有無は業者選定の際の大きな判断基準となります。専門性だけでなく、法的な信頼性の証明にもつながります。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験の費用相場

非常用発電機の負荷試験にかかる費用は、主に発電機の出力容量によって異なります。

  • 20kWA以下:10万〜20万円程度
  • 230kWA以上:30万~50万円程度

上記は基本費用ですが、これに加えて、発電機の状態によっては燃料補充や部品交換が必要になる場合や、現地までの交通費がかかる場合もあります。複数台ある場合や高出力の設備では費用が上がる傾向にあるため、見積もりを取る際には金額が総額かどうかも確認しましょう。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験業者を選ぶポイント

負荷試験を依頼する業者は、単に試験ができるだけでなく、福祉施設に特化した対応力があるかどうかが大切です。利用者の安全や施設の運営に配慮できる業者を選ぶことで、安心・確実に試験を行えるでしょう。ここからは、福祉施設の非常用発電機の負荷試験業者を選ぶ際に意識したい4つのポイントを解説します。

多様な建物の実績が豊富かで選ぶ

福祉施設の設備は、一般的な商業施設やオフィスビルとは異なる点がいくつかあります。たとえば、電源を一時的に切り替える必要がある試験では、利用者の安全確保が最優先されるため、施設ごとの事情に応じた柔軟な対応が必要でしょう。
そのため、過去に福祉施設や病院、学校などの実績がある業者は、現場対応力への経験があるため安心です。ホームページで施工事例を確認したり、問い合わせ時に「福祉施設の対応経験があるか」を質問したりするとよいでしょう。

有資格者が在籍しているかで選ぶ

負荷試験には高度な知識と経験が必要であり、消防設備士や消防設備点検資格者など、必要な資格を持った技術者が在籍している業者を選ぶことが重要です。基本的には有資格者でなければ負荷試験は行えません。
もし無資格の作業員が対応する業者の場合、法令に則った適切な試験が行われなかったり、報告書に不備が生じたりするリスクがあります。見積書や契約書に担当者の資格情報が明記されているかを事前に確認しておくと安心です。

福祉施設の非常用発電機の負荷試験を実施する流れ

非常用発電機の負荷試験のスムーズな実施のためには、事前のスケジュール調整や業者との綿密な打ち合わせが重要です。ここでは非常用発電機の負荷試験を実施する流れを解説します。

見積もり依頼、業者の選定を行う

まずは複数の業者に問い合わせて現地調査と見積もりを依頼しましょう。福祉施設に対応した実績や資格保有者の有無、作業範囲なども比較検討のポイントになります。必要に応じて施設の運営スケジュールや入所者への影響も考慮した対応力のある業者を選ぶことが大切です。

負荷試験の申し込みを行う

業者を選定したら、具体的な日程を決めて負荷試験を正式に申し込みましょう。施設の稼働状況や利用者の安全を考慮し、業者と調整しながら試験日時を設定します。試験にあたっては、施設スタッフへの事前説明や周知なども行い、当日の混乱を防ぐ配慮が求められます。

工事~報告書の作成をしてもらう

試験当日は業者が発電機を稼働させ、点検項目に沿って測定・記録を行います。完了後には、試験結果をまとめた報告書が作成され、施設へ提出されます。報告書には稼働状況や測定値、不具合の有無などが記載されており、今後の整備計画にも活用できます。

不具合が見つかった場合は改修を行う

試験の結果、不具合や劣化が確認された場合は速やかに改修を行う必要があります。発電機や関連設備の修理・部品交換などが必要な場合は、引き続き信頼できる業者に対応を依頼しましょう。不具合を放置したままでは、次回の試験や消防署への報告にも影響が出るため、早急な対応が大切です。

報告書を消防署へ届け出る

負荷試験の報告書は、消防法に基づき管轄の消防署へ提出する義務があります。多くの業者はこの報告代行も行ってくれますが、自施設での提出が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。正しく報告することで行政指導のリスクを回避し、法令遵守の姿勢を示すことができます。

まとめ

福祉施設にとって、非常用発電機の負荷試験は単なる点検業務ではなく、利用者の命と安全を守るための大切な備えです。消防法で義務付けられている点はもちろんのこと、信頼される施設運営や万が一のリスク回避のためにも、定期的な試験と確実な整備が欠かせません。
特に福祉施設は、利用者の避難が難しいという特性があるため、施設の実情に即した対応ができる専門業者の選定が重要です。株式会社テックビルケアは、創業40年の実績を持つ防災インフラ&住宅診断の専門企業です。消防設備士や建築士など多彩な有資格者が在籍し、消防設備点検・定期12条点検・ドローン外壁診断など幅広いサービスをワンストップで提供いたします。福祉施設に特化した負荷試験・点検サービスも実施しており、報告書の作成から整備対応まで一括でサポートいたします。詳細は公式サイトをご確認いただき、ぜひご相談ください。

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